リクエストテーマ
「ツンデレとは何かをディアさんに尋ねるミリアリアさん」



ムカつくけど、腹立たしいけど、『知りたい』という欲求には勝てなかったようだ。

「知りたい?」
「……うん」
「教えて欲しい?」
「……そう言ってるじゃない! 勿体ぶってないで、早く教えなさいよ!」

最初はおずおずと訊いていたミリアリアだったが、ディアッカの態度に怒鳴ってしまい――

「それそれ。それが『ツンデレ』」
「は?」

返ってきたディアッカの声に、ミリアリアは間の抜けた声を出してしまった。
頭が働かない。
呆然としていると、ディアッカから解説が飛んできた。

「んだから、今のがツンデレ現象。普段はツンツンしてるけど、二人っきりとかになると、途端に甘えん坊になるのを、『ツンデレ』っつってんだって。今、結構流行りの言葉らしいぜ?」


なるほど。ツンデレの『ツン』で、冷たさを表現し、『デレ』で甘え気質を表現する。

彼女の読みは、かなり的を射ていたらしい。

「……――って、それでなんで、私がツンデレなのよ! 私がいつ、あんたに甘えて――」
「今、甘えてたじゃん」

ディアッカは簡単に、ミリアリアの退路を塞ぐ。
言葉で彼女の主張を打ち消し、ミリアリアを前に、手を壁につける事で、彼女の逃げ道を奪って。
顔を赤くするミリアリアを、真上から見下ろす。

「今も甘えてるっしょ」
「どこが、甘えてるのよ……」
「そーやって、可愛い顔して誘ってる」
「誘ってな――!!」

声を張り上げ、ミリアリアはギョッとした。
ディアッカが笑いを堪えてる。どうやら、これまた彼の策にはまってしまったらしい。


ほら、またツンデレしてる――と。


気分はもう、最悪で。

「……良いわよ、もう……」
「何が良いのさ。まだ俺、ツンデレの基礎しか教えてないぜ? これからツンデレ学第二章・ツンデレとは何か――ってのが」
「始まんなくて良い」

流暢な喋りを、ばっさり切り捨てるミリアリア。
この『ツンデレ』という言葉に対し、彼女はもう、どうでも良くなっていた。
……考えても、疲れるだけだ。

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