リクエストテーマ
「ツンデレとは何かをディアさんに尋ねるミリアリアさん」


「はぐれるそっちが悪いんじゃん。人がどれだけ探したと思ってんだよ」

ディアッカの手が、ミリアリアの頭に乗る。
彼女の意識が、頭に集中する。
その隙に、ディアッカのもう片方の手は、ミリアリアの持つ『紙』に伸びていた。

「どれどれ。相性診断か?」
「あ! ちょっ……見ないでよ!」
「見るなって言われると、余計見たくなるんだよね〜」

あっさり診断結果を奪い取ったディアッカは、ミリアリアの妨害に負けず、中に目を通していく。

「俺との相性診断? なかなか可愛いことしてくれるじゃん」
「だから、返してっ!」
「ってもな〜。結構面白いこと書いてあるしな〜。お? ツンデレ比率?? おーおー、こんな典型的なツンデレっ子捕まえて比率を考えろ――とは、何様だ? って感じだな、この診断結果」
「――え?」

用紙を取り返そうとするミリアリアの動きが、突如止まった。

「もしかしてディアッカ、ツンデレの意味知ってるの?!」
「そりゃー……ほほう? もしやミリアリアさんは、ツンデレの意味をご存じ無い?」
「!!」

その瞬間、ミリアリアは激しく後悔した。


訊くんじゃなかった――!!


この、勝ち誇った笑顔がたまらなくムカつく。
ムカつくけど――知りたい。

「そんなに教えて欲しいの?」
「別に、知らなくても問題無いし」
「顔が『知りたい』って言ってるぞ?」
「言って無いわよ!」

精一杯強がってみるが、ディアッカには通用しない。

「素直になれば、存分に教えてやるのに」
「良いもん。知らないまんまで良い!」

と言って、どかどか歩き出すミリアリア。ディアッカは、悠然と後を着いて行く。
それ以上知識の押し売りをしようとするでもなく、怒りほとばしる少女の背中を、余裕綽々の笑みで眺め続けるだけ。
二人の足は、ゲームセンターの入り口へ向かう。すると、正面玄関の前で、ミリアリアの足が止まった。
ちょっとだけ、後ろを向いて。
目だけでちらっと、ディアッカを見て。


「……本当にちゃんと、知ってるの?」


ついに訊いてしまう。

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