リクエストテーマ 「ラブラブバカップルディアミリ」 「……私には、無理なのよ……」 「そんなことないって。あれだって……元は俺のためにやろうとしてくれたことじゃんか」 夜遅くまでバスターの整備をしていたディアッカ。その姿を見て、ミリアリアは決意したのだ。 ご飯を作ってあげようと―― 「ディアッカだって見たじゃない。あの消炭……」 「あの日は……料理をしちゃいけない日だったんだよ。大丈夫。ミリアリアなら出来るって」 「……そう、かな……」 ディアッカの説得により、ミリアリアは少しだけ、自信を取り戻しかけた。 あと一歩。 「だからコレを着て、もう一度料理を作ってくれ!」 「……そこまで、言うなら……やってみる」 こうしてミリアリアは、もう一度厨房にたつことを決めた―― ――のだが。 「……ええと」 厨房に再び乗り込み、上着を脱いで、いざディアッカから渡された白い布地=フリフリレースの付いた純白のエプロンを着込んだミリアリアは、鏡に映った自分の姿に目を点にした。 ――せざるを得なかった。 真っ白な胸元に燦然と輝く、『DEARKE LOVE』の文字に。 ……どう見ても、『ディアッカラブ』としか読めない。 「……ねえ、ディアッカ……これは……」 「おお、さすがミリィ! よく似合うなあ」 「ススス、ストップ!!」 こちらの言い分を聞こうとせず、抱きしめ攻撃に出てこようとしたディアッカを、ミリアリアは寸前の所で制止させた。 流されるわけには行かない。 「この、エプロンは……?」 「よく出来てるだろー。なかなか大変だったんだぜ? 特に『R』の部分なんか――」 〈――って、手作り?!!!〉 その瞬間、ミリアリアの衝撃の論点は、施された刺繍から、その刺繍を施したのがディアッカである事実へと移行した。 「ミリィがそれつけて料理したら、そんだけ俺のこと大好きだーって、みんなに広まるだろ?」 〈……まさか、そのためだけに、これを……?〉 明らかに引き気味のミリアリアに気付くことなく、ディアッカは刺繍苦労話を語り続ける。 そんな姿を見て、彼女が感じたことは―― 〈これを『可愛い』って思うんだから、私も結構やられてるわよねー……〉 恋は盲目。感覚を麻痺させる。 普通だったら投げ返してるであろうエプロンも、愛しい人が一生懸命カスタマイズしてくれたかと思うと――例えそこに書いてあるのが小恥ずかしい文面でも、不思議と愛着が沸いてくる。 やられてる。 ディアッカに、のめり込んでる自分…… そんな自分が嫌じゃないところがまた、救いようも無いくらいハマっている証拠だ。 〈ディアッカのため、だもんね〉 自分に活を入れると、未だ語り続けるディアッカを放っておいて、ミリアリアは激戦の地へと足を踏み入れた。 |