月花に謳う

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「ああ、ごめんね。というか、アヤ。聞き捨てならない言葉を聞いた気がするんだけど。詳しく聞きたいから、アヤも座って」

「分かりました。少し長くなりますのでお茶を用意しましょう」


 今の学園の状況を説明するのには少し時間がかかるし、気を紛らわすものでもないとやっていられない。

 文人が再度、紅茶を淹れて戻ると月花は髪の毛をバレッタでまとめあげていた。繊細な見た目はしているが、ある程度粗雑な部分もあるひとだ。性別を感じさせない容姿をしているが、このひとも自分と同じ男の性を持つことを文人は忘れたように時々思い出しては苦笑している。


「こちらをどうぞ」
「ありがとう。それで?」


 紅茶を出し、自分も席に着く。準備する際に用意していた書類も机に広げていく。これから話の種になるのは転校生やら生徒会が中心だ。もちろん、親衛隊も。該当する重要人物の個人情報が記された用紙を机の上に広げていく。


「生徒会のメンバーは覚えらっしゃいますか?」

「ああ。一応、覚えてるよ」

「念のために確認しておきますね。生徒会長が三年三組の北見統十、副会長が三年二組の白井恵太、会計が二年四組の吉田遥、書記が二年五組の宮野智之です。風紀委員長が三年五組の円堂秀嗣ですね。それから生徒会親衛隊の総括は三年一組の藤宮香。あとの方はとりあえず置いておきます」

「親衛隊、ねえ」

「親衛隊も今はごたついてるんですよ。内部分裂状態というか…。総括は霜野くんと仲がいいみたいで、危害を加えることはないので安心してくださいね」

「悠璃が?」

「あ、そうですね、そこから説明が必要でした」


 月花が学校を訪れることはないため、すっかり失念していたが普段の悠璃の様子については――本人は自分の口からは言わなさそうだ、と再度納得し、説明していく。
 悠璃が親衛隊と仲が良く、昼食をともにする姿が見かけられたが今は接触すらしていないこと。月花は悠璃らしい、と笑みをこぼしてから苦笑し、ちょっと複雑だな、と呟く。



 
mokuji


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