月花に謳う

二章5のあと





二章5で悠璃が去った後の月花とその従者(ネタバレ)の会話です。

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「お客様ですか?」



 その声は悠璃の去った方向とは逆、月花の後方から。涼しげな声。緑のカーテンから現れたのはさらさらのストレートの茶髪、中性的な面立ちと顔に合った細見の身体。生徒会庶務、水無月文人。


「ああ、アヤ。その通りだよ」


 流石だね、と月花は微笑む。
 その様子に文人はすこし驚いたような表情をするもすぐにそれを奥に押しこめる。


「あなたにしては珍しいこともあるのですね。他人にそんなに積極的だなんて」
「関心は……なかったんだけどね…。」


 とん、と口元に当てられるクリアファイル。それは先日、この学園で情報やを営むものからもらった参考資料だ。
 会ったのは偶然。関わる必要もつもりも、なかった。けれど――。


「アヤ、お願いがあるんだけれどね。僕のことは“月花”って呼んでくれるかな?」
「は、はあ…?それはまた、なんで。まさか…」


 気の抜けた表情から渋面へ。有能な彼は悟ったらしい。


「名前、教えてないんですか?」
「そう。だから好きなように呼んで、って言ったら月に花で月花だって。ある意味的を射てると思わないかい?」
「それどころか、恐ろしく的確なあだ名ですね。よかったじゃないですか」
「なにが?」
「だって、」


 文人は名前を呼ぼうとして、くっと言葉を飲み込む。


「あなた嬉しそうじゃないですか」
「ふふ、まあ、おなじ趣味のひとに出会えたんだから。そりゃあ、ねえ…?」
「おなじ趣味って。ああ…」
「大丈夫、悪い子じゃないよ。きっとアヤのことも一目で気に入るだろうね」
「そうですかね…」


 彼は同族なのだ。うつくしいものにどうしようもなく惹かれる。他人と近しい距離感を持つことがなかった月花としては新鮮で嬉しいことだ。
 これから彼と過ごすことができるお茶の時間になにを話そうか。
 月花は穏やかな笑顔の下でゆるゆると思考を巡らせた。




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実は一目で気に入ってて、同じ趣味の持ち主だと知ってもっと興味が湧いた月花さん。
瑞樹の言う通り、二人が惹かれあってるという。
ちなみに陶器は月花さんのお父様が模様を入れたものでした!ちょっとした裏設定(笑)

あとで出てきますが文人さんは月花さんの側近?世話係?です。



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mokuji


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