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「そもそもの発端は転校生と、うちの無能な生徒会が原因なんですよ」
「うん」
苛立ちそうになるのを抑えて私事の感情が入らないよう、状況が分かるように客観的に説明をしていく。転校生に生徒会のメンバーがいれあげていること、転校生が悠璃とその友人にやたらからんでいること。悠璃と転校生が同室であるが、悠璃自身は自室に帰っている形跡はないこと。悠璃がとばっちりで親衛隊から嫌がらせを受けていること。最近は上手く躱しているのか、悠璃たちが生徒会室へ訪れなくなったこと。事態のあらましを順に説明していく。
話している途中から月花の眉間に皺が寄り、不機嫌になっていったが淡々と説明していく。
「――なので、親衛隊は鬱憤を晴らすために霜野くんに嫌がらせをする者、生徒会に不本意とはいえ近付いたことによる嫉妬から嫌がらせする者、が大きく分けて二つでしょうか。それから水面下では制裁を加えようと画策する者。逆に霜野くんたちと仲がいい人たちはこれを察知して未然に防ごうとしたり、彼からできるだけ目を離さないように見守っている者。こんな感じで親衛隊も霜野くんにとってプラスマイナスに分かれてますね」
「アヤ」
「何でしょう?」
「どうしてもっと早く教えてくれなかったの?ああ、待って、ごめんね。僕が知ろうとしなかったからだよね。はあ……」
月花が額に手を当て、自身を落ち着かせるように息を吐く。完全な自己嫌悪だった。
「僕がもう少し早く気が付いてあげたら、悠璃も少しは苦しまなくて済んだだろうにね…」