月花に謳う



14




「要はその転校生の行動は目に余るが、それ以上のことを行っていない。転校生の行動から親衛隊の方が動いているっていうわけか。親衛隊については規律があるし、たとえば制裁をしたときは風紀の取り締まり対象になる、と。こういう感じなのかな」


 確認のために告げてみれば、そうだ、と円堂は重苦しく溜め息を吐いた。


「それに現状、生徒会の仕事もまあ多少遅れてはいるが、そこまで滞ってるわけじゃない。生徒会の機能が転校生により完全に障害されているとは言い難い分、生徒会にも強く言えない。五月女が居座ってるのも大体、休み時間か放課後だからな。授業をさぼっているわけでもないし……。問題があるのは分かっているが、正直お手上げなんだ。生徒会のリコールについても考えたが、これも無理だろう。不信任票が三分の二まで集まらないといけないし、今の生徒会にそう生徒たちが不満を抱いてはいないだろう」


……本当に状況が悪いな。

 転校生を明確に取り締まれる理由がない。生徒会も同じで、言及する点がないときた。


「ふうん、状況は分かった。でもさあ、被害に遭ってる生徒を放置するのとはわけが違うでしょう?」
「分かっている。親衛隊の方にも怪しい動きがないか見張りを強化するし、霜野と五十里は姫へと認可し、風紀委員をつけよう。本人たちにも無闇に一人で行動することのないように忠告しなければな」


 円堂はすぐに必要書類を棚から抜き出し、必要事項を書き込んでいく。それを眺めながら、ふとあることを思い出す。


「そうそう、人手が足りないなら親衛隊に協力してもらいなよ。保護対象も多いだろうけど、監視とか内部調査とかなら出来るだろうし」
「…親衛隊に?」




83/106
prev next
back





×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -