月花に謳う



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 階級制度は基本的に役職に関連する、貴族、騎士、官人を除いたら変動はほぼない。容姿端麗を理由の筆頭にその他諸事情から保護対象として華人ランクを与えられている者もいる。華人ランクは保護対象と社会的階級が高い者であって、学校運営には直接関与してこない。加えて、騎士ランクという風紀などの取締役のランクも警察のような立場だから、公平で然るべきだ。官人ランクは部長クラスだけれど、部活を始めとしてリーダーシップがあり、部員をまとめているのだから顔が利くし、ある種権力者と言ってもいいのだろう。


「なんかそう言われてしまえば、階級制度自体の意味がなくなりそうですけど」
「まあ、慣例的に残っているのと保護対象がいるっているのが大きいかな。もちろん弊害だってないわけじゃないんだけど。善し悪しだよ、そこらへんは」
「まあ俺としては、綺麗なものが愛でられたらそれでいいんですけれど。」
「外部生の悠璃くんには少し難しい感覚かな。よっぽどがない限り強制的に命令が実行されることはないし、権力をむやみに振りかざさないのも大切なことだから。まあ、皇帝となると話は別だけど。皇帝だけは発言すべてに力があるからねえ」
 

 のんびりとした口調で茜さんが告げつつ、ハーブティーのおかわりを注いでくれる。別の茶葉を用意していたのか、先程の目に鮮やかな牡丹色をしたものから檸檬色になっていた。ハーブティー自体も茶葉だけじゃなくて、花や木の実まで入っているから瓶詰にされている状態になっているものも美しいと思う。


「あ、このハーブティーもいいですね。これ好きです。」
「良かったら持っていく?ティーバックがいくつかあるんだけれど、この時期だと湿気も気になってね。それにこの前、うっかりしてて余分に買ったから多めにもらってくれると嬉しいな」


 春のような穏やかな微笑。茜さんにはこの穏やかな笑みが一番似合っている。その美しい笑みと醸し出す雰囲気のおかげでこちらも心穏やかになれる。茜さんは年上なのだけれど、どちらかというと癒し要員というか。俺の中でのアヤさんのポジションと似ているかもしれない。こちらから愛でるのではなく、その美しさを享受すると言えばいいのか。



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