月花に謳う
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朝、転校生がいるときに目覚めると必ず手を引かれて、更には生徒会メンバーと登校しなければいけなくなる。そうするともう本当に視線や勝手な憶測や罵倒の針の筵になる。だからこうして早く起きて、本来すべきことをこなすように生活サイクルを改めた。
それに、転校生が同じ部屋だと思うだけで寝つきが悪くなった。眠りが浅い。何度も目が覚めたり、眠れなくなったりする。授業中にうとうととするくらいには寝不足だ。少しずつ生徒会と一緒にいるせいで、親衛隊に目をつけられ始めているようで。ちいさな嫌がらせが増えてきた。ちょっとしんどい。
部室棟に行って、園芸部と書かれたプレートのドアを開く。中はロッカールームと長テーブル、数脚のパイプ椅子、本棚には園芸関係の雑誌が並んでいる。
鞄の中身をロッカーから取り出した教科書と入れ替えたりする。この生活サイクルになってから教科書は自室からこちらへと少しずつ移して、学校関係の必需品は大体こっちに置いてある。
ノートと教科書、プリント類を机に広げて予習に取りかかる。もうどうせ眠れないならその時間は有効に活用した方がいい。部屋では安心して勉強に取り組めないから、逆にこの方が効率が良かった。
それも一通り終わって、ぐっと背伸びをする。まだ登校時刻までは時間があった。転校生に話しかけられたくないので、いつもSHR(ショートホームルーム)ギリギリに滑り込むようにしていた。
時計と教科書を見比べる。一寝入りでもしようか。欠伸を噛み殺して、ブランケットを肩にかけて机に突っ伏せば、ゆるやかな眠りの淵から闇へと意識は降下していった。
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