月花に謳う
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生徒会と転校生に関わってしまった以上、影響力の大きい彼らだ。俺からどう飛び火するか分からない。それを考慮してコレクションの子たちには早々に俺には接触しないように、との旨を伝達した。
俺のせいで、俺が大事にしている子たちが傷つくのは許せない。香ちゃんはそれをよく分かっているのだろう、俺の言葉にただ唇を噛み締めて頷いただけだった。それに香ちゃんには親衛隊をまとめるという仕事があるのだ、これ以上迷惑はかけられなかった。
コレクションの子たちに関わらないということは、とどのつまり、自室に戻らねばならないということだ。あの、転校生がいる自室に。
できれば会いたくない、というのが本音だ。ほら、人間相性ってあるでしょう。それが俺は激しい方だから、嫌いならば会いたくもない、同じ空気を吸いたくもないって思ってしまう。
ふいに瑞樹の言葉が甦った。ああ、確かに。瑞樹の言ったことは当たっている。巻き込まれてしまった。
これからどうなるのやら、と大きく息を吐いた。
* * *
転校生に会いたくない。それから庶務を除く生徒会連中とも関わりたくない。転校生が同室、扉を隔てた向こうにいるのが嫌だ。
眠れない。
ぼんやりとする頭で、寝台から抜け出すと制服を着て鞄を持って部屋を出る。時刻は早朝。まだほとんどの生徒が起きていなだろう時間。
薄らと白み始める空に綺麗だ、と思いつつ、くありと欠伸をする。
転校生に割と高い頻度でからまれている、と思う。冬吾より俺の方が転校生に拉致される確率が高い。授業中に連れ去られたりしないのは唯一の救いなのかもしれない。それでも同席する生徒会メンバーに階級上逆らえないから、適当に相手をしなければいけないし、かといって彼らの視線やちょっとした嫌がらせはモヤモヤイライラと俺の中にわだかまった。
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