月花に謳う



07




 この学校で恐らく、一番の人気を集めているのは生徒会だろう。それでも、俺が求めているような、俺が一番うつくしいと思う人はいなかった。というより、あまり生徒会連中が好きではない。あの人たちは今の地位に甘んじすぎている、というのが俺個人の意見だったりする。すこし横柄だ、と思う。傍目からの評価はよくないと分かっているが、それでも彼らとはなんとなく人間性が合わないだろうと見当をつけている。


「生徒会だね」


 香ちゃんがつまらなさそうに、頬杖をついてアイドルさながらの彼らに視線を遣っている。香ちゃんは生徒会に興味があるわけではないらしい。前隊長に指名されて仕方なくやってんの、と前に言っていた。


「派手だよねー…」


 俺のつぶやきに何人かが頷く。生徒会連中は人気投票と階級上位者から選ばれることが多く、必然的に容姿が整っている。今期の生徒会は歴代に比べるとそれなりに人気らしい。
 生徒会長や会計の髪色は随分と明るく染めてあり、ピアスなんかもつけて適度に制服を着崩している。生徒会の中で特に派手なのはその二人で、書記と庶務の恰好は大人しい。副会長も大人しいが、すこし高圧的で人を寄せ付けないような張り付けた笑みは正直、ありのままを愛でる俺にとっては嫌悪の対象と言っても差し支えなかった。
 派手なのは好まない。華美よりも素朴な、そしてカッコいいというよりは綺麗や美しいといった容姿の方が好ましい。生徒会では華奢で親しみやすいと噂の庶務がいい。さらさらで柔らかな茶髪に顔は中性的で、ぱっと見は謙虚という印象だった。彼となら是非仲良くなりたい。
 そんなことを考えていたのが表情に出ていたらしい。


「霜野、あまりそういう顔、しないでくれる?」


 香ちゃんが不機嫌層な顔を隠そうともせずに告げてくる。


「どうせコレクション増やしたいとか考えてたでしょう。庶務様とかを……ねえ?」


 艶然と微笑んでくる香ちゃんに俺は困ったように眉尻を下げることしかできない。



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