薔薇輝石:3
「そういえばよ、御影は木附の知り合いか?この前、篠原に伝言頼んだろ」
おっかない顔で俺に迫って来たんだぞ、と言う会長はスマホを取り出していじり始めている。
どくどくと心臓が脈打つ。じわりと身体の奥から熱が生まれてくるようだった。
琥珀、気付いてくれたんだ…。
痛いくらいの鼓動を刻む胸元をぎゅっと抑える。一緒に服の下の琥珀のペンダントトップが肌に食いこむように押しつけられる。ほんのりと体温が琥珀に移るような気がした。
会長がちらりとこちらを窺う。
「あー、その、なんだ…」
軽い調子の会長の言葉には珍しく、口ごもり戸惑う声音。なんですか?そう訊こうと口を開こうとしたところで。
「翡翠」
声が、微かな足音とともに聞こえた。生温い風が頬を撫ぜる。