黒曜石:1
空には雲一つなく綺麗に晴れわたり、うつくしい浅葱色が広がっている。角部屋にあたる兄弟の部屋の角、直角にとりつけられた窓の向こうには穏やかな街並みがあった。
真夏も近く、やんわりとクーラーのきいた部屋で翡翠と琥珀はじゃれていた。室内をちいさく軽やかな笑い声が踊る。
「琥珀、もっと」
自分に縋りついてきて、もっとと強請る弟がこの上なく可愛かった。
琥珀は翡翠の望むままにその濡れて赤みが増した脣へと己のそれを重ねた。触れ合わせるだけでは物足りなくて、すこしだけ強引に口を割り開く。
「ん、んっ」
開かれた口腔内に舌を差し込んで、ツルツルとした感触の歯や上顎、熱い舌を悪戯につついてまさぐる。口腔内を思う存分に堪能する。抱き込んでいた腰がカクカクと震えだしたのを悟ってその身体を寝台へ押し倒した。