珪孔雀石:3
「こんにちは、会長」
「ああ…。お前、一年か?」
「はい」
とりあえず挨拶。会長、三年生だし先輩だから。縦社会って大事だよねぇ。
がしがしと頭を掻いた会長はどさっと僕の隣に腰を下ろした。思わずぎょっとしてしまうが、ベンチはこれ一つしかないのだから仕方ない。
それから妙な沈黙が続いた。翡翠は黙々と弁当を食べ続け、総一は何やらスマホをいじっていた。
弁当を食べ終わり、暇になって会長をじっと見つめていると眉根を寄せられる。まあそれはそうだろう。用もないのにじろじろと見られては好い気はしないだろう。
「あ?なんだ?」
「いえ、なにしてるのかなーっと思いまして」
「ゲームだよ」
「へぇー」
ほら、と画面を見せてもらうがよく分からない。小さく首を傾げるとしていると会長が怪訝そうに聞いてくる。
「お前だってゲームくらいするだろ」
「いえ、僕はあまり」
「あー、趣味とかねぇの?」
「趣味……勉強ですかね?」
「………お前、真面目だな。」
それからすぐに予鈴が鳴って、去り際に名前を聞かれた。
「御影です」
「下は」
「翡翠です」
「そうか、明日もここに来るのか」
「たぶん…」
さようなら、と去り行く背中に声を掛けるとひらひらと手を振ってくれた。
親衛隊の言う会長像はどこかきらきらしていて嫌厭したかったけど。会長……悪いひとではないのかもしれない。