天青石:朝礼
席について、しばらくすると満席になったようで照明が落とされると皆静かになった。
檀上に登場したのは二年の篠原要、副会長だった。
「みなさん、おはようございます。ゴールデンウィークは有意義に過ごせましたか?」
おはようございます、と副会長に元気な返事が返り、質問に対しては近くの生徒が頷くのを見て結構、と副会長は頷いて笑みを深くした。なまじ顔が整っているので様になる。
男臭さがあまりなくて、どちらかというと中性的な副会長はタチの方々に人気だ、と補足しておく。
「さて、このような臨時集会を開きましたのにはもちろん理由があります。新入生のみなさん、生徒会の会計枠が不在だったのを疑問に思った方もいらっしゃるでしょう。会計が不在だったのは海外留学をしていたからです。二、三年生は知っているでしょうが会計は冬休みからカナダの兄弟校へ留学していました。ゴールデンウィークに帰ってきたので、改めて紹介の場を設けることにしました。では後は本人から挨拶してもらいましょう」
それだけ言うと副会長は舞台袖に引っこんでしまった。
確かに。会計が不在だったのはどうしてだろうと思っていたのだ。親衛隊はあるのに何故と首を捻ったものだ。そうか、留学していたのか。
そして、再び舞台袖から現れた人物に僕は目を瞠った。
歩くたびにふわりと揺れる金の髪、睫毛が縁取るこげ茶の双眸、すっと通った鼻筋にすらりとした長い脚。綺麗という言葉がぴったりの青年。