翠雨 | ナノ


翠 雨  


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天青石:4



 それから高等部では行事運営はすべて生徒たちで成り立っている。詳しく言うと先生方はほぼノータッチだ。生徒の意見を集約し、生徒会がまとめ立案決定する。最早ここは小さな組織だ。そして風紀は警察。校則違反者の取り締まり、そのための校舎巡回、トラブル対応などを請け負う。高等部は小さな会社だ。生徒の問題は生徒たちで。自立心を育む。そういった感じだ。良家の子息たちが多いこの学校ならではのシステムだ。

 そんな高等部には定期的に朝礼や集会がある。校内の色んなところに設置してある意見箱に入っていた意見について各委員会が対応したり、また講話だったり、ときには校歌を歌ったり。色んなことをして起きていることを身近に感じさせる、またそれについての対応を思考や意見発表をしたりする場だ。ときにはホームルームで討論をして意見をまとめて提出したりなど色々だ。


 今日は臨時集会のようだった。定期的に集会がある日でもないし、事前連絡にもない。朝、教室に行くと黒板に担任のちょっと汚い癖のある字で「今日は集会。全員講堂へ。迷子になるな」とチョークで書かれており、皆大人しくそれに従った。

 ここ何回かあった集会はすべて体育館で、講堂は初めてだった。何人かのクラスメートと連れ立ってくだらない会話をしながら講堂へ向かう。講堂は音楽の定期演奏や劇の発表、講師を招いての講座だったりに使用するもので、半円階段状。分かりやすく言えば、市民ホールみたいな感じだ。まあそれよりもずっと広く、デザインがきれいで、さすが金持ち校と思ったが。



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