高遠さんはいつも強引だ。
私がどれだけ恥かしい思いに耐えているなんてきっと考えもしないのだろう。
高遠さんがキスをする度、心臓が飛び出してしまうかと思うくらいどきどきしているのに
彼は平然とそれをやってしまう。
それに、その先まで…

お風呂から上がって髪を拭いていると、先に上がっていた高遠がベッドに腰掛手招きをする。

「名前、髪を拭きますからこちらへ」

「…じ、自分で拭けますから大丈夫です!!」

「そう恥かしがらずに!」

そう言って、高遠は名前の傍へ寄るとベッドに誘導し髪を拭く。
タオルが水気を吸い取り重くなっていく。
ある程度水気を取ると、ドライヤーをセットして暖かい風を当てていく。

「高遠さん、何か手馴れてませんか?」

「そうですか?名前にしかやった事はないのですがね」

「…それ、何人の女の子に言ってるんですか」

むっと頬を膨らませる名前に、高遠はクスッと笑みを溢すと耳元で囁く

「名前だけですよ」

「ひゃっ!たたたた高遠さん!!!」

「あまり動くとやけどしてしまいますから、大人しくしていてください」

高遠はそう言って髪を乾かしていく。
暫く、高遠のされるがままになっていた名前はドライヤーが切れる音を聞くとベッドに体を倒した。

「やっと終わった…」

「こら、髪をときますからちゃんと座ってください」

「えーーもう眠いからいいです」

「そう言っていると明日絡んで痛い思いをするのは名前ですよ」

高遠の言葉に、名前は渋々と体を起こす。
高遠は櫛を使い丁寧に名前の髪をといていく。

「とても綺麗な髪ですね。絡みませんし枝毛もなさそうだ」

「一応、髪には気をつけてますから…。でも、何もしてない高遠さんの方が綺麗で羨ましいです」

「私ですか?」

高遠は自分の髪を掴み不思議そうな顔をする。
特にこだわりはないらしく普通にシャンプーやリンスをしているだけと言う高遠の髪は
綺麗な黒い色をしており艶もありとても綺麗だ。
髪だけではなく肌もきめが細かく綺麗な事もあり助成泣かせだなと思う。

「私は男ですから、褒められてもあまり…」

「それがずるいんです。私なんて毎日お手入れ大変なのに…」

「じゃあ、私と交わってみます?」

高遠はそう言うと名前をベッドに押し倒した。

視界が反転して、高遠の綺麗な顔と天井を見つめながら名前は飛び出してしまうのでははないかと思わんばかりに高鳴る鼓動を感じていた。

「た、たた高遠さん…」

「そろそろ、キス以上に進みたかった所ですし…いいですよね?」

「いや…その…!!」

いいですよね?何ていわれても心の準備が出来ていないわけで。
名前は恥かしくなって高遠から顔を逸らし硬く目を閉じる。
高遠はそんな名前にフッと微笑み首筋に舌を這わせる。

「ひあっ!な、何するんですか!!」

「何といわれても…名前があまりにも可愛かったものでつい」

「つ、ついじゃないです!離してください…!!」

名前は真っ赤になりながら高遠を睨むように見つめる。
顔を真っ赤に染め、瞳にうっすら涙がにじむ名前に高遠は抑えきれない物を感じ名前の頬を撫で優しく口付ける。
高遠の口付けに翻弄されるように応え背中に腕を回せば高遠は安堵したかの様に深く口付けていく。

「珍しく、今日は積極的ですね」

「そ、それは…高遠さんが…」

「そうですね。私がこんなにも名前を大胆にさせてしまったんですね」

高遠の言葉に、名前は背中に回した手を離し耳を塞いだ。
恥かしくて死んでしまいそう…
そんな名前に高遠は愛しげに唇を触れさせた。

待てと言われて待つと思わないで下さいね
(今夜は抑えられそうにありません。覚悟してください)
(や、ちょっと待って…!まだ心の準備が!!!)

(タイトルはこちらのお題をお借りしました)
確かに恋だった
→あとがき
( *前 │ 表紙次#
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -