「高遠!俺の大事な名前姉ちゃんを連れて行こうったってそうはいかないからな!」

「私も金田一君に同感です。そんな野蛮な男に名前を渡すわけにはいきません」

「はじめちゃん、明智警視…」

二人の姿に、名前は驚きながら高遠をちらりと見た。
高遠は、いつもの余裕な表情のまま立ったままの二人を見つめた。

「朝から素晴らしい寝言ですね、金田一君。シスコンも大概にしてくれないと名前が困ってしまいますよ。それから、明智警視は今日は休暇でも取られたのですか?もしかしてサボりですか?いけませんね、いい大人が…」

「フッ!今日はあなたとは違って、金田一君のお母様に呼ばれて来たのですよ」

明智は勝ち誇った様に高遠を見ながらそう告げる。
少し悔しそうにする高遠を見つめ、一は小さく呟いた。

「呼ばれたって言うか、漬物取りに来ただけだろう」

「金田一君、何か言いましたか?」

「いや、何も!っていうか、名前姉ちゃんは俺のなんだから誰にも渡したりしねーからな!!」

一は、子供のように名前に近づくと後ろからギュッと抱きしめる。
名前は小さい子供の様に甘える一に心がぽかぽかと温かくなるような気持ちを感じた。

「まったく、はじめちゃんはいつまでたっても子供なんだから。私がいないと駄目ね。お腹すいたでしょ?明智さんも座ってください。朝ごはん作りますから食べて行ってください。高遠さんもおかわりします?」

「姉ちゃんに朝ごはん!」

「私も戴いて良いのなら。ぜひ」

「名前の手料理が食べれるならおかわりさせて戴きます」

三人の言葉に、名前は笑顔になりエプロンを手にするとキッチンへ向かった。

「よし!じゃあ、とびっきり美味しいご飯作りますね」

三人は、名前がキッチンに向かうのを見つめ口々につぶやいた。

「姉ちゃんは絶対嫁にはやらないからな」

「金田一、そろそろ私の事を義兄と呼んでも構いませんよ」

「明智警視が兄になるとは、金田一君は世界で一番不幸ですね」

その言葉は、鼻歌混じりに料理を作る名前の耳には届かなかった。

両手に華?
(それにしても、高遠さんも明智さんも素敵すぎて選べない)

→あとがき

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