翌朝、まだ外がうっすら明るくなってきた頃明智は少しの寒さを感じて目を開く。
頭も覚醒しきれない上にメガネがなく視界が悪い。
手探りでメガネを探し掛けるとベッドの上には名前の姿はなかった。
「…名前?」
慌てて名前の姿を探せば、ベッドの下で掛け布団に包まった名前が見えた。
恐らくベッドから落ちてしまったのだろう名前を抱きかかえベッドに戻し掛け布団を剥がして抱き締める。
一向に起きる気配のない名前はぬくもりを見つけぎゅっと抱き締めた。
「まったく…人の気も知らないで。そんな無防備ではいつか食べてしまいますよ?」
「ん〜」
むにゃむにゃと口を動かす名前に、明智は我慢できずにその柔らかな唇に己のそれを重ねた。
初めて触れる名前の唇はとても柔らかくて甘い。
触れるだけの口付けにとどめ、名前を抱いたまま再び眠りに落ちた明智が再び目を覚ましたのは名前が思い切りカーテンを開きまばゆい日差しを顔面に浴びせた頃だった。
「健悟さん!起きて!!気持ちい麻ですよ!!」
「…名前、その…朝の日差しを直で浴びせるのは遠慮して戴きたいのですが…」
「え、ごごめんなさい!朝ごはん作ったから一緒に食べようと思って…」
シュンと肩を落す名前に、明智は微笑み名前の頭を撫でた。
「いえ、起こしてくれてありがとう。折角名前が朝食を作ってくれたんですから戴きましょう。その前にシャワーを浴びても構いませんか?」
「はい!コーヒー淹れて待ってます」
明智はシャワーを浴び、着替えを済ませ朝食を摂ると名前と共に有名なショッピングセンターへと向かった。
はじめて来たという名前は、目移りしてしまう様であちらこちらの店を覗いては移動するを繰り返す。
「女性は買い物が好きですね…」
名前が気になるものは全て購入すると言う甘やかしを発動する明智は、買い物に疲れて一人ベンチに腰掛ける。
ころころ変わる表情は見ていて飽きないしとても可愛いと思うのだが流石に両手を埋める買い物袋の数に少し疲労を感じてしまう。
(そう言えば、どれもワンピースではないような…)
「健悟さん!健悟さん!あっちも見ていいですか?」
「ええ、どうぞ」
「ありがとうございます!ちょっと待っててくださいね!!」
これだけ買ってもまだ見たい店があるのかと思うと溜息しか出て来ない。
それでも、名前が楽しいならそれはそれでいいかもしれない
と思い明智は服を手に取る名前の姿を見つめていてた。
日曜日、僕は荷物持ち(もし名前と結婚したら休みの日は毎回こんな風になるのか…?)
(健悟さん!これ、健悟さんに似合いそうです!)
(支払いは?カード一括で)
どうしても、君を甘やかさずにはいられないようだ
→あとがき