「素直じゃない名前も、全て愛していますよ」

「高遠さん……私も、すき」

「本当に?」

高遠は、意地悪くそう言うと体を起こした。
名前も、不安げに体を起こすと高遠に縋る様に胸元に体を寄せる。

「好き!…本当は…初めて会った日からずっと…ずっと好きだったの。でも………!」

「試すような事を言ってすみません。こうして、名前と二人穏やかな時を過ごせるなんて思っていなかったもので」

高遠は、名前の唇に人差し指を当て言葉を遮ると優しく微笑んだ。
名前も、高遠に応えるように微笑んだ。

「高遠さん、好き。大好き……!」

「私も、名前を愛しています」

「嬉しい!」

名前そう言うと、高遠に勢いよく抱きついた。名前を受け止めた高遠は、えへへと嬉しそうに笑う名前の髪を優しく撫でた。
名前は、高遠に抱き付きシャツを強く握り締めながら震える声で呟いた。

「このまま、酔いが醒めなければいいのに」

「名前……?」

「もし、私が刑事じゃなくて普通の女の子だったら。立場とか、夢とか全て捨てて高遠さんと一緒に生きていけたら……」

シャツを握る名前の手を、高遠は優しく握り指を絡める。
感じる高遠の温もりに名前は顔をあげた。

「……高遠さん?」

「まったく。あなたはいつも考えすぎなんですよ。いつも言っているでしょう?必ず名前を私のものにすると。あの狭い鳥籠から救いだしてみせると!」

「高遠さん、ありがとうございます……!」

高遠と繋いだ手がとても暖かくて安心する。
名前は、高遠の手を寄せて唇を触れさせると小さく欠伸をした。

「眠くなりましたか?」

「……すこし。でも、まだ寝たくない。高遠さんともっと……もっとこうして甘えていたい」

「私はずっと傍にいますから。ゆっくり眠って構いませんよ。こうして、抱き締めていますから」

高遠の言葉に、名前は少し悩んで高遠に両手を伸ばし首を縦に振った。

「…うん……寝るまで、ぎゅってしてくれる?」

「もちろん。名前が望むなら、いつまでもこうしていますよ」

高遠は、名前を抱き締めると再びベッドに倒れ込んだ。
名前は、ゆっくり目を閉じながら高遠に顔を擦り寄せた。
高遠は、名前の髪を優しく撫で耳元で優しく囁いた。

「おやすみなさい。私の名前……」

「おやすみなさい、高遠さん。起きても……あなたを大好きって言える私が、いい」

「いつか、必ず言わせてみせますよ」

名前は、嬉しそうに微笑んで眠りに落ちた。
高遠は、眠る名前に唇を触れさせると自身も目を閉じた。

今なら素直に好きといえる
(あれ、私いつの間に眠って……!って何で私、高遠さんと抱き合ってるんですか?!)
(おや、もう酔いは醒めましたか?昨日の名前はとても可愛かったですよ。ほら、こんなに可愛い)
(何ムービーなんて撮ってるんですか高遠さんの変態!!!!)

(タイトルはこちらのお題をお借りしました)
確かに恋だった

→あとがき
*前表紙次#
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