そもそもの原因って…
「やれやれ、三成め。よう誤解したな」
「ぎょうぶ…! は、早く兄様を止めないと! こんなの秀吉様と半兵衛様に知れたら僕、大阪城に行けなくなって――」
絶対半兵衛様に笑われる…!
おっきな秀吉様と綺麗な半兵衛様。どちらも兄の尊敬(崇拝?)する方たち。
小さい頃、兄様を追いかけて迷子になっていた所を助けてもらってから良くして頂いています。…半兵衛様には若干遊ばれちゃってる気がするけど。(あ、勿論男だって知ってるよ!)
兄の上司二人の姿を思い浮かべながら早く早くと刑部を急かす。
兄様はヘタしたら馬より早く走れる。その足に追いつくにはもう、刑部に任せるしかないじゃんか!
「刑部ー!」
「あいわかった。…ぬしが待てぬは三成似よな」
さっきまで泣いて怒って文句を言ってた事をころりと忘れ、ふよふよ浮かぶ輿(これも原理不明…)に相乗り。急ぎ後を追った。
――…そもそもの原因が刑部であり、三成の接近に気付いていながら放っておいた刑部。
僕は、兄を追うことで頭がいっぱいで、誤解を解くため持ち前の弁を揮るわなかった刑部に疑問を抱きもせず。
「もっと早く!」
「ちくと待て、待て。今日は調子が悪うてなあ…」
「でも安全運転で!」
「やれ、真澄はまこと我儘よ」
「え―――ぅきゃああああああ!!!! はやぁあああああっ!!!」
「……ヒ、ヒヒッ!」
信じられないスピードで爆走した。
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