初夜編 1


※)エロくないドタバタ感。幸村妹は基本品が無い。弟の乙女度↑up


布団は一つ
枕は二つ
その上で見つめ合う一組の男女と言ったら、

「しゅ、修学旅行の夜みたいでドキドキしません、か?」
「……」
「ご、ごめんなさい……冗談でーす」

枕をそっと元の場所に置いて、逞しすぎる自分の肩を最大限小さくして謝罪。ごめんなさいごめんなさい…! 謝りますからそんな射殺さんばかりの眼差しで見ないでください…! だ、だって何か言わないと場が持たない気がして!


祝言を済ませた私達二人。
晴れて夫婦とナッテシマッタノデス。

嬉しいような切ないような恥ずかしいような。

あ、もちろんすっごく喜んでいますからね? 式の直前までもやもやと悩んでいた事も、だ、だだんだだんな旦那さ…まに解いて頂いたわけですし。…うん。

ほっと息を吐き――不安が一つ吹き飛び安心してしまった私。
なんだか全部が終わってしまったような安堵感は気を緩ませていて。その後に待ち構えていた最大の難関を「ぽーん」と忘れていたのです。…いえ、全く頭に無かったと言ってもいいのかも知れません。

そう、それは――、


「よし、んじゃ一発やるか」
「………………それは、あの、その、もっと言葉を選べなかったんでしょうか……」
「あん? …ったく、我儘だなぁ。じゃあ、初夜? セッ「わーッ!! 初夜でいいです! むしろそれがいいです…!」

あからさまな単語はもう言わないで下さい…! あ! 胡座ははしたないですよっ!

「前から思っていたことですが、椿さんにはもっと恥じらいという言葉の意味を学んで頂きたいですね…」
「はあ? 別に構いやしねえだろ?」
「私が構うんですってば…」

お互い寝間着姿で床の上。
苦笑する私といつも通りの椿さん。何となく分かってはいたことですが、私たちには甘い雰囲気なんて無縁ですよね…。うーん、ホッとしたような、少し残念なような。

ハッキリ言ってこれ以上は未知の世界――、

でも


「言い方は違っても、誰しもヤル事は一緒だろーが」

という言葉と共に突然のタックル。私は難無くそれを受け止めてしまって、

「あの、何してるんですか?」
「……俺は今、これ程お前と自分の体格差を呪った事は無い
「それは…すみませんでした。それで、何を為さろうとしていたんです「押し倒そうと思って」――はい?」

「つまりは――、」

呆けていると再び肩を押される。ドサッと背が布団に受け止められ、天井を見つめてぱちぱちと瞬きを繰り返した。

「こういう事だ」

視界いっぱいに顔が迫り、長い髪が帳の様に下りた。

照らす明かりは頼りなく、それでもこの人はこんなにも輝かしい。私はきっと外見ではなく、この輝きに引き寄せられたんだろうなーと片隅で思う。……思うけど、ニヤニヤと笑う顔は徐々に事態を呑みこんでいく此方の反応を楽しんでいて、とても意地悪です。


「なんだ、見惚れてんのか?」
「――――っぎゃ!」


慌てて顔を反らせばベロリと首筋を 舐 め ら れ た !

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