01


ぐにゃー、


ごろごろごろー、


ぐにゃぐにゃー…、


……うん、…何か効果音(?)だけじゃ分かんないと思うんだけど、多分これは俺の移動音です。


「…ほどよいひかげ、げっとぉ〜」


眩しくてたまんなかった日向から比較的涼しい日陰に移動完了。途端に、ぐにゃーって体がまた伸びちゃう。


「うー、まだ…ちょいあつい」


俺に何か恨みでもあんのか!ってなぐらいお天道様も絶好調!な本日は気温もうなぎ上り、それに比例して兄上とお館様の暑苦しさもうなぎ上り…そして俺のやる気は急降下…というのが今の状況です。

この部屋には俺一人だけど、超デッカイ声で「おやかたさばぁあああ!!」「ゆぅきむるぅああああ!!」って声だけが遠くからでもハッキリと聞こえてくるから、全然一人って気がしない。むしろ、あれ?隣にいなくね?みたいな気さえしてきたよ…。

なんであんなに元気なんだろう。


――そより、


だらだらと畳とお友達(あれ?何か寂しい奴みたいな言い方…)になってごろごろしていた俺を優しく風が撫でていく。うへ〜、今の超気持ちいいんですけど…。


開けっ放しの障子戸から入ってくる風がホントに気持ちいいくて、思わず顔がニヤける。


ゴロンと大の字になって寝っ転がってる姿はオカンが見たら何事!っとビックリするかもしんないけど、ご安心を。生憎うちの佐助は兄上からの指令(団子とか、団子とか…あと何だっけ?)で今は居ませ「ちょっと、あんたらぁあああッ!!」…お帰んなさい、オカン。

部屋の端から端まで、ころころ転がりながら涼しさを求めて日陰から日陰へ移動をして…全身で暇をアピール、もうじき治まる…かもしんない声を聞いてたら頭がくてって重力に倣う。

あー…なんでこんなに戦国のんびり生活満喫してんでしょうか俺、みたいな?もっと何かあってもよくね?っていう疑問も浮かばない侭、うっつらうっつらと夢の中にお出かけしていきました。



「…三郎?」

呼ばれた気がしてそろりと目を開けると、視界を埋めたのは赤。
よく開かない、気を付けないと閉じちゃいそうになる瞼が重くて、拳でくしくしと擦った。


「すまぬ、起こしてしまったか?」


ふわんと撫でられて、それが気持よくて思わずすり寄る様に顔が付いていく。このゴツゴツしてちょっと遠慮ない触り方は兄上だな〜なんてぼけっとした顔で見上げてた。


「…あにゅうえ?」


あにうえ?って俺は声をかけたつもりだったんだけど、どうやら呂律が回ってないらしい。

途端にぷって吹き出す気配が頭の上からしてきて、その笑いを誤魔化す様にまた頭を撫でられた。寝起きの俺はそれがなんか気に入らなかったのかぎゅうっと眉間に力が入る。

もう知らねーって感じでツンと顎を反らすと、拗ねてくれるなってまた笑って今度は頬をつつく兄上…別にむくれてないもん。


ぷち兄弟喧嘩(?)に発展しそうなのを丸く治められていると今度は傍らに軽い衝撃音。続いてほんの少しの重みが右側からかけられ、ぽんぽんっと胸というかお腹ら辺でリズムを刻まれてる…どうやらもう一度寝せようという感じらしい。

ってかお前も寝る気ですかー!って最初は踏んばって抵抗してたんだけど…元から重かった瞼は頑張っても直ぐにとろーっと閉じてきて…、


「おやすみ」


見事に陥落。

そよそよと風がまた吹いてきて、おでこが丸出しになったかもしんないー。

まえもくじつぎ
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