03
わ、話題を変えよう!閑話休題!閑話休題!!
何か違う事を振らないとどんどん逸れるんじゃないか!?戻って来いさすけー!
何を言おう、何を言えばいいんだろう?
あわあわ挙動不審になりながら俺が出した答えは、
「さ、さしゅけっ!」
「……は!…俺様は今までなにを…?」
「お、れも!」
「…はい?」
うんしょと背伸びして同じ木に背をつける。ほらほら!俺も身長、記録取りたいんだよ!さあどうぞー!という感じで両手を自分の頭に乗せた。
見上げる瞳はキラキラと輝きに満ち、背をくっつけることで安定を得たのか、微妙な爪先立ちで。…べ、別に身長誤魔化してなんかないんだからね!
ぶはっ、
佐助が息を詰まらせ口元を手のひらで覆う。小さく揺れる始める肩。直ぐにガバッとうずくまった佐助は橙色の頭を上下に揺らして、身悶えていた。…え?俺、そんなおかしな事したか?
なんだか心配になって、声をかけようとしたら
「…っは、あはははは!もう、俺様駄目!何それかわいいっ!」
笑い声が、弾けた。
ちょ、佐助。笑いすぎじゃね?
「…さすけー」
「あはははは、っごめん、ね。あんまりにもツボに入っちまったからさ、つい」
「…(むぅ…)」
「拗ねない拗ねない、」
ね?と、未だ肩を震わせながら宥められる。
ちょっと複雑。逸れていった佐助を呼び戻す事には成功、寧ろ大成功したのになー。
…俺のガラスのハートは傷つきやすいんだぜ?ゆーしー?
「三郎様」
声を掛けられた一瞬。その一瞬の間にガリッと頭上から音が伝わる。
え?と思ってくるりと振り返ると、そこには既に真新しい傷跡が。
…おいおい、分かってはいたけど30センチは違わないか?これが一歳と四歳の身長差…切ない。なんだか無性に切ないです。
「大丈夫、直ぐに追い抜いちゃうさ」
じっと見上げたまま、へにょりと眉を垂れさせた俺を慰める佐助。
うん。そうだよな、まだまだこれからだよな!あと三年の間に追い抜けばいいんだし!と、頷いてから、
笑顔で走り出した。
たけくらべ、せいくらべ
俺と昔の兄上で、
「かくごー!」
「…あるえー?三郎様?三郎様?どうして旦那の方へ走っ…、って、走ったら危なっ」
(べしゃっ)
「…ふぇ、……いたい」
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