02


俺の励ましが通じたかは分かんないけど、苦笑して、でも嬉しそうに笑ったのを見届けて。改めて庭の散策を開始しようとした。

…あれ?

視界の端に映った一本の木。
とてとて歩いて近づいて見ると、不規則に刻まれた傷跡が。なんだこれ?何の跡だろ。


「ああ、コレが気になるの?」
「うん」


うわ、懐かしいねえ〜と、目を細めた傍らの存在。指先で撫でると乾いた樹皮がパラパラと崩れる。結構古いのかな。一番下の線なんて消えちゃいそうだ。


「これはね、真田の旦那…三郎様の兄上の成長の跡」
「あにうえの?」
「うん。…ほら、これが四歳。その上が五歳で…」


六、七…と指折り数えるように、上へと上がっていく指先。段々と新しくなっていくそれらを見て。

「あにうえの、せ?」
「そ!当たり〜」

良くできましたーって感じで頭をわしゃわしゃ撫でられちゃった。え、てかマジでか!

俺の頭に手を乗っけたまま「旦那ってば結構伸び悩んじゃって、十を超えるまではちっちゃくてさ〜」とケラケラ笑う佐助。
え?なになに?幸村ってば身長で悩んでたの?って、好奇心がうずうずと湧き上がる。

ちょ、そこ詳しく!と俺が聞こう思ったら


「いや〜、旦那ってば走るし転ぶしで小さな怪我が絶えない子供でさー。手習いの時間はサボるわ、勉学の時は消えるで隠れ鬼状態。もー、まいっちゃったよ」
「…」
「かと思えば鍛錬ばかりやりたがっちゃって、まーた怪我増やすし。俺様に相手しろ佐助ぇ!って毎日叫ぶしさ。あ、これは今もじゃないの」
「…さ、さす」
「物を壊した時だって佐助が悪いのだ!なんて言っちまうし、…俺様、大変だったな。ははっ…やば、思い出したら涙出てきた」

ベラベラと語り出した佐助。
どうしよう、口を挟む隙がありません。目尻を拭う仕草も付いてきたし。てか最後なんて愚痴混じりでしたよね!

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