02
「はぁ……だれも、おれがいないのきがついてないよな、ひとりでうろついてたし」
―――ぐぅ…、
腹まで鳴りだして賛同してるぜオイ。
体力を消耗したお陰でお腹の主張が随分早いなあ…―――と、俺が迷子っちゃった少し前のこと。
ぱたぱた――かぱっ、
ぱたぱたぱた――ガタッ、
ぱたぱた――…、
「…ありゃあ、何してんだ?」
「は、…何かを探している様で御座いますな」
「と、いう風にしか見えねえなあ」
奥州居残り組(失礼)が不審な動きをする忍―――影雪等を目にし、首を傾げる。
(実際はぱたぱた等と足音など立てていないのだが、そこはそれ、なんとなく)
黒尽くめの三人がキョロキョロと動き回り、時たま集合して情報を確認し合う。
やり取りは勿論、身振り手振りのジェスチャーオンリー。
もし目撃者が三郎であったら「かわいいなおまえら…」の一言で済ませてしまう程、仕草的には可愛らしいものでした。
しかしながら、奥州主従の感想は「忍は忍べ」その一言に限られた。
三人が六人、六人が九人。
分身し拡散していった忍が探すモノといったらそれはただ一人。
真田幸村が愛弟、三郎。
生憎この場に佐助は不在で、兄は主君の元へと赴いており、奥州主従はツッコミに失敗。
―――ただし、行動の理由が分かっていたら引出しを開ける、軒下や天井裏を覗きこむという行為そのものにツッコミを入れる事が出来ただろう。
お前らアイツは猫じゃないんだから、と。
そして更に付け加えるならばその姿はまるで失せモノ探しをしているようしにか見えず、とても迷子を捜す緊迫感は無かったのだ。
「あ、」
シュパッと二人の目の前で忍の姿が掻き消えた。
暇になるとちょろちょろ動き回る三郎は迷子の常習犯(本人は否定したいらしい)
上田であれば大抵佐助が見つけて保護するのだが、どうやら今回はその線はない。
小さな姿を探す彼等が実は内心、三郎と隠れ鬼をしている様な感覚でいるというのは三人だけの秘密で―――、
背に花を背負った三忍がくるくると舞い降りて小さな影を見つけるまで、後少しの事である。
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