道場にて 3


ぺっぷんぺっぷん
ぺぷーぺぷー
ぐきょきょきょっ


「振り方によって音が変わるんだぜ!」

そんな眩しい程の笑顔で渡されても正直困るよ。うん。



大きさ:30センチ程
重さ:布なので軽い
振り心地:ぺぴゅーぺっぷん

どう見ても子どもの玩具です! ありがとう御座いました!


「……なんだ、これ」
「あぁ、右目の兄さん知らない? 今流行ってんだよ、巷で。知り合いに貰ったの忘れててさー」
「何となく用途は理解できるが……面妖な音を出すな」
「そうかな? 俺は面白いと思うけど」

YA・KU・ZA顔の人とチャラい兄ちゃんが至極真面目な顔でぺっぷんぺっぷんと間抜けな音を出す玩具について語るこの光景……すごく絵面的におかしいです。
ちょ、慶次、話の途中でにぎにぎすんなって! 小十郎さんまで興味もって握っちゃってんだろ! 仲良いなっていうか、かわいいなあもう!


一頻り手中で弄ばれた(?!)それは、そっと、俺の手へとやってきた。
うわー……なんか期待の眼差しで見つめられてる……。

「あ、ありがとう……(なんか、昔こういう玩具があったような気がするな―)」


それじゃあ、とばかりに試しにひと振り。


ぺっぷん、ぺっぷん

ぺっぷんぺぷん、ぺぴゅー


あ、ちょっと楽しいかも。

縦に横に斜めに。振るごとに音を変えるのがなんだか面白くてご機嫌で振った!
なにこれ、段々楽しく無てきたぞ! おりゃぁ! このこの! って。
俺だって男の子ですもん。
銃器、武器類、ロボット。小さい頃だって戦隊モノや某仮面のヒーロー番組だって見てたよ! ああそうさ好きだったよ! 今だって好きさ!

一心不乱に振って昔見たかっこいい決めポーズやら技やらを無意識のうちに披露する俺。
そんな俺を生暖かい目で見たり何やら顔を抑えて悶える大人たちが居るなんて思いもせず、兎に角俺は楽しんでいた。
いつの間にか幸村も政宗も戻ってきていたとも分からずに。


「くずりゅうせん!!」
「あまかけるりゅうのひりゃめきぃいい!!」

出ないけどな! 超懐かしいぜえ!


動き疲れてへとへとになるまで、ぺっぷんぺっぷん、マヌケな音を道場で鳴らし続けた。
ぎゃぁああ!! 見てるんなら言ってよね! やめてぇえ! そんな目で俺を見ないでください後生ですからぁああ!!


夢吉に拍手された時は凄く嬉しかったけど。

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