オカンと俺と
さて、この後はもうスーパーオカンタイムだったよ!
手も足も顔も手桶の水(冷たい!)で洗われて、砂だらけだった着物を早業で脱がされた。
万歳して、もうされるがままの状態で「もーこんなに汚しちゃって!」なんてオカンのお小言にごめんなさいと反省。(一瞬だけ肩に手を置きかけたのを必死に我慢したよ!)
直ぐに変えの着物(赤)に着替え完了ー。ピカピカになりましたー。
着物皺くちゃにしてごめん。でも半分は幸村の所為だから!寝た時に付いちゃったんですよオカーン!
「あれ三郎様、結い紐は?」
どうも寝ぐせが酷かったらしく髪を梳こうとした佐助があれ? と首を傾げる。
いつも髪に結ばれている紐が無くらしく、白い元結だけになってる寂しい尻尾を解きながら佐助が聞いた。反射でつい振り返って、
「あ、ダーメだって、動かないでじっとしてて」
怒られた。
えー?どこで無くしたんだろ、気がつかなかったなー。……実は高い物だったらどうしよう。
兄、幸村と同じ尻尾持ちの俺。
解くと肩より少し下まであるから結んで無いと首筋がさわさわするんだよなー。何処で無くしたんだろ? 砂場かな。そこしか思いつかないなあ……、よし!
「じゃあさがしてく「はいはい、動かないでって。後で俺様か影雪達が探すから、ね」……はーい」
探しに行こうとしたら佐助に阻止された。
無くした俺が悪いから探そうと思ったのに。そう佐助に伝えると「そう思ってくれるだけで十分だよ」と言われてしまった。うっ、ごめん佐助。いつもありがとうな!
「しっかしまあ、三郎様もクセの強い髪だねえ」
櫛を通すわずかな音と佐助の声。それだけの空間。
凄く、眠くなります。
とろりと瞼が落ちてくる。そういえば俺、寝不足だったよ。でもお腹空いてるからまだ寝たくない。
きゅうっと髪が括られて、さあ行きましょうと促されながら一生懸命、目を開いている努力を続けた。
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