日輪様と俺と 2


「(そういえばこの人も居なかった…)あの…もうりさん…?」
「………、」
「(む、無視っスか…)」


ええ、見ての通りの ガ ン 無 視 です!(涙出そう…!)

会話出来ねえー!てか気付いて無いの?!それとも光合成中は話したりしたらダメとか、そういう決まり??

そうだ、きっと遠かったから聞こえなかったんだ!とポジティブに考え、近づいて見ようと思って履物を探す。
…あった!大人用の草履。誰のかも分かんないけど。…ちょっとだけお借りしまーす!(裸足は行儀悪いからね!)



ずり、ぺたん、

ずりずり、ぺたぺたん、


マヌケな音を立てて、毛利さんに歩み寄る。後ろから見たら、絶対マヌケだよね。
し、しょうがないじゃんか!子供に大人サイズなんて合わないんだよ!しかも、正直親指と人差し指が裂けそう!鼻緒超太い!誰のだよこのビッグサイズー!!

内心ヒイヒイ言いながらも何とか到着。そろりと顔を見上げた。ら、…うん。通りで反応頂けないと思ったよ、だってこの人、耳腺してる。


「もうりさん、もーりさんもうりーさん!」
「………、」
「おー…(完全に聞こえてないのかー)」


確認の為に何度も呼んでも反応ナシ!

耳腺して目も瞑って、完全に日輪と対話状態ですありがとう御座いました。な、毛利さんを前に暫しの逡巡。…面白いので取りあえず地面に足形書いちゃおう。…毛利さんの。


「ふんふんふ〜(ガリガリガリッ)」

テンション高いぜえ!な俺はノリノリで地面に線を引く。普段だったら絶対そんな事しないけど、そこはテンション高かった!そんな感じでおねがいします!


「…かんせい!」

一仕事終えて、また毛利さんを見上げる。
先程と変わらず日光を浴び続ける毛利さん。

凄い集中力です。
本当に気付いて無いみたいだなー。



…、


……あれ、ちょっと待って。これってもしかして、またまたチャンス到来なんじゃないのか?


考え始めるとまた止まらない。うずうずと昨日の朝の様に体が自然と揺れ出した。
…一瞬、一瞬だけ!俺に許可を与えて下さい日輪様―!!みんなでやれば恥ずかしくないよ!たぶん!

男三郎!
本日もいかせて頂きます!


バッ!と両手を頭上に翳し毛利さんに、並んび―――、



「…にちりーん(超小声)」


…、


やっぱり恥ずかしい


「うっ…(でもやっぱり下ろせねえー!何この引力ー!)」
「…何をしている……」
「…ふえ?」


お、おおおビックリ。
毛利さんと眼が合っちゃったよ。

未だ両手が上がったままの俺、と、日輪ポーズの本家毛利元就さん。…あれ、何コレ。眼が逸らせない…!見つめ合ったまんまだよー!!なになになに?!「不遜な…」とか言われちゃうんだろうか?!こえー!!ごめんなさいごめんなさい!!!


「ごめんな「そのように幼きうちから日輪を奉るとは、中々良き心掛けよ」…え、えええ?」
「ただ…―――角度を今少し直せ」
「は、はいい!!」

言われたとおりに直したら「まあ良いだろう、次からは気を付けよ」なんて言われちゃいました…。えー?ええー?えええー??何でか褒められたっぽい雰囲気なんですけどこれぇええ!!


それから、俺の体力が続くまで(と空腹に負け心が折れるまで)二人で日輪を拝んだ。

何かよく分かんないけど、想像より友好的(?)な人みたいだ。…たぶん。


(お、おなかすいた…「三郎さまー!朝餉ですよー!」――はーい!!)
(ふん、行くぞ…)
(は、はい…―――ってはええええ!歩くのはえええ!!どんだけ朝餉心待ちにしてたのー?!)

まえもくじつぎ
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -