日輪様と俺と 1


女三人寄ればかしましい。(と誰かさんが言ってました、多分)

だったら武将が寄れば、かしましい所か喧しいというか…うん、ぶっちゃけうるさいもんで。

じゃあ今夜は宴会じゃー!!なんてお館様が号令掛けちゃえばNO!なんて言う人なんていない訳で(寧ろノリノリなのが血縁…)、


で、


「けっきょく、さいごはこうなるの…」


俺の周りには死屍累々…じゃなくて、酔いつぶれてそのまんま寝た人大多数。

眠気と酔いとの攻防戦を繰り広げた結果なのか分かんないけど…着物が半脱げ状態で爆睡してるのが何人か。てか、あの人着物がログアウトして帯だけなんですけどー!寒くないの?!どうしたらそうなんの?!そういういじめじゃないよね!アニキーッ!!



あ、おはようございます三郎です。

武将様その他諸々と大宴会を繰り広げた結果、そのまま朝を迎えるしかなかった俺です。助けて下さい、切実に。

…因みに俺、大人会議後ずーっとずーーっと離してくれなかった兄上様の所為で若干寝不足ですよコンチクショー!政宗も絡んでくるから余計に寝れないんだよバーロー!うあああああんっ!!


「くるしくって、ねるにねれない…!」
「…ぐー……ふにゃ、」
「なんでこんなにやすらかなの…!」
「……No!…No!」
「…………(こっちはこっちで、何の夢を見てるか超気になるし)」


俺on幸村状態な今現在。
(と、何故か隣に居る政宗)

こんなお子様の体重、掛け布団より軽いぜえ!…とか思ってるかは分かんないけど、すやすや寝てられる幸村が非常に羨ましい!くそぉおおお…ぺしぺし顔叩いてやる!

「……(ぺしぺしぺし)」
「ん…ぬ……ぅ」
「……(ぺしぺしぺしぺしぺし)」

はははは!ざまーみろ!思い知ったかー!と、効いてるかは兎も角、なんか気は済んだので腕が緩んだ隙に脱出した。
瞬間ふらっと寝不足による眩暈がしたけど…多分だいじょーぶ。うん。寝不足ってテンション高くなるしね!

…しかし、



「…すごいこうけい、」


ぐるりと周りを見渡して、感想を一言。
実に壮観です。

誰がこれ後始末するんだろ…佐助かな?


ゴロゴロそこら辺に転がる徳利とか杯とか人とか人とかを、注意深く避けて。宴会場だった部屋を出ると…開け放った戸から新鮮な空気が入ってきた。とても気持ちがいいなーうわーい、



―――…チラリと後ろを振り返る。


…うん。絶対ここの中、空気が良くないよね。お酒臭いし。

でも、このまま開けっ放しだと風邪とか引いちゃわないか?起こしたり布団持ってきたりした方がいいのか、なー?なんて、


…、

……、

ぱったん、


いやいやいや、別に封印とかしてないからね!開けっ放しにしといたら幾らなんでも寒そーだなあ〜とか思った―――…ごめんなさい。

白状するとちょっとだけ、見なかった事にしようと思いました!だってさ、ひい、ふう、みい、よ…俺の両手じゃ足りない人数の布団なんて持ってこれないからね!



うんうんと一人納得して、早朝の廊下を歩きだした。昨日着せてもらったのが皺くちゃだ、どうすんのコレ。と独り言ちながら見慣れた迷彩を探して、キョロキョロふらふら。

…あれ?そう言えば、あそこにはお館様も片倉さんも居なかったかも。

(お館様は何となくわかるけど主放ってる従者ズとか、実際どうよ…。佐助は幸村に負けて俺を救出できなかったみたいだし)


また割烹着で朝ごはんでも作ってるのかな〜なんて、何気なく庭の方へ眼を向けると…、



…おおお、なんか、いた。



庭に居たのは――瀬戸内の知将・毛利元就。

ピシッと背筋を伸ばし、上品な色合いの着物を着こなすその姿は流石知将です。一分の隙もありません。知将です。もう一回言います、知将です。



絶賛光合成中ですけどね…!



何時からこの場所にいらっしゃったのか…朝日に向かって手を高々と掲げる姿。
俺の位置からは顔は見えないけど、


絶対イイ顔してる…!


なんつーの?!神々しいんです!輝いてるんです!お、俺も仲間に入れてくれないかなあ!!

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