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「なんじゃ、みな揃っておるのか。……つまらんのう…(ぼそっ)」


開けっ放しだった障子からお館様がひょこっと顔を覗かせた。

本日は着流しダンディお館様。なるほどー、もふもふが無いと普通に剃髪なんですね。
……てか今、絶対「つまらん」って言ったよな?俺の気の所為じゃないよね? 何を期待してたのお館様? 事件ならこの名(迷)探偵が解決済みだぜ! …なんちゃって。


庭でわちゃわちゃしていた俺達(主に身内とその好敵手ェ…本当にすみませんでした!)はゾロゾロと部屋に入り着席していった。
まあ掻い摘んで流れを説明すると、移動がてら瀬戸内紹介→散らばるお菓子発見→俺怒られる→しょぼーん→お館様普通に到着→じゃあ、そろそろ大人の話を始めようか(←今ここ)なんだけどさ…。


……。


おい、お兄様。そろそろ俺を下ろしてくださいませんか…?
膝の上に俺を乗せたままお前は「the 大人の話」を、始めるつもりですかそうですかー…。なあなあ、それって子供に聞かせて良い話なの?教育上よいの?ほーらお兄様ご覧になれえ!みんな「え…こいつこのまま居るのかよ」みたいな顔してるよな絶対!(視線が…俺にはそう見えるから仕方ない…)
―――、解放を希望する!解放を希望する!大事なことなので二回言いました。
むぅうううう、外の庭で大人しく待つから放してくんないかな…。


「…真田の旦那、そろそろ放してあげなって。ここからは三郎様には退屈だr「――あきらめたらそこでしあいはしゅうりょうだよ!」…たぶん」
「む、お…三郎、大人しくしておらぬか」
「なに、ジッとしておれんのだろうよ。子供とはそういうものじゃ、のう?」

きょろきょろと皆の顔を窺う俺に佐助が気付いて助け舟を出してくれた。そんでその動きが激し過ぎたのか膝の上からずりずりと落ちかけたよ。……お館様には「落ち着きがない」という烙印を押された気分だぜぇ。


「――…、仕方ないでござるな…」


結果、下ろしてもら…いや、隣に座らされた。どうやら何が何でも一緒みたいです。
右にお館様、左に幸村、後が佐助。目の前には武将ズがババーンッ!
本当にありがとう御座いました。完全に包囲されていますねバーロー!!


仕方なく話に耳を傾けた。
――が、直ぐに限界。うん、ダメ俺限界。


話は自国の話題から始まって流れるように同盟の締結云々、内容文書云々、自署した同盟文焼いたけどいいよね? 神仏の前だし。いいんじゃね? みたいな会話に発展(大幅修正有り)っていうのを…とっても真面目な顔でするんだぜこの人達ェ…。

おいおいおい正直もっとフレンドリーに会話するかと思ってたのに、とんでもねえな同盟国!一般人な俺は普通に頭に入ってこないよ…。


「…ぁふ…(やべ、欠伸でた。さすが大人の話…伊達じゃねえな…)」


ぶっちゃけこれはこれで暇なんだけど(加わる訳にもいかないしなー)元々纏まってた話みたいなんで直ぐに終わりそうだよな。うん、俺は待つ。

こうして、暫く俺は無我の境地に入ったのでしたー(……ちょっとカッコイイ言い方したけどボケっとしてるだけですすみませんッ)



「――では、…ここまでかのう?」

「ああ、いいぜ? 問題ねえ」

「構わねえよ」

「…良いだろう」


はっと意識を取り戻すとどうも終了のようで、見るとお茶を飲んで一息つく面々が。おっと涎がいつの間にか…。あっれー?放心している間に終わったのかな?


「…ああ、起きたでござるか三郎」
「…? おき、た? …ねてたの?」


ぱちぱちと眼を瞬くとふわわと欠伸が一つ。…なるほど、幸村に寄り掛かっている俺、理解した。自分では放心してたと思ってたけど、うたた寝こいて隣の幸村に体重をかけてたみたいだ。起こしてよお兄様…。

じゃあこれで晴れてお仕事終了なのか、と見上げるとにっこり満面の笑みで返された。(ついでに言うとまたお膝の上に逆戻りしましたよ…あるえ〜?)


「おつかーさまれしたー?」
「(まだ寝ぼけておるのか…)うむ、」
「つぎは、みおくり? みんな、さよなら?」
「「「「?」」」」


…あれ。なんか皆変な顔してる。俺変なこと言ったか? 空気読み違えた? え、えっ、だって仕事イコール話が終わったって事は、帰るんじゃねえの? え…普通はそうだよね? みんな国のお偉いさんじゃん、帰るでしょ普通は。んんんん?


「旦那等も俺様達も、しばらくここにいるよ」


佐助の一言で俺は「そう言えば…上田からは一週間いない予定だったよね」と今更ながら思い出したのでしたー。
…。おおおごめんなさいごめんなさいぃいい! 冷静に考えるとこんな子供に「お前らはよ帰れ」みたいな催促された気分だよね!
 で す よ ね ー !


一気に眠気が覚めた俺。恥ずかしくなって持っていた迷彩ポンチョを深―く被りました。…顔が見えないように。


(これからあと五日間よろしくお願いします……なんてね)

まえもくじつぎ
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