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次なるお客様が到着した時には、ちょっとした騒ぎになっていました。ばい、さぶろう。
「お、おい泣くな!Do not cry」
「〜っう、ないでないもんっ!」
「…Oh、どうすりゃいいんだ小十郎」
「先ずは猿飛を起こしてみては如何でしょうか? おい、起きろ!」
(グキッ)
「……動かねえな、」
「……左様で御座いますね、」
「にゃー!! ざずげー!!(グキッて! グキッていったいまーッ?!)」
「何やってんだお前ら」
「…喧しい事よ」
佐助がビュンって飛んできてピクッピク動いたと思ったら静かになっちゃったんですけど!(説明終わり)どどどどどうしよう。どどどどうして?! 誰か説明して下さい、佐助はどうなっちゃったの?! 幸村にフラストレーションでも溜まっちゃって、それを解消するために佐助が身を呈して役立ったとかそんなんじゃないよねえ!(ある意味正解)
佐助の無残な姿に動揺する俺。
そんな俺を囲んでいる奥州双竜と影達。
え、これなんてカオス(混沌)が出来上がっていた。勿論夢吉の存在も忘れて居ないよ!一番最初に頭を撫でてくれたもん。えへへ…。
――って、ちっがーう!
和んでいる場合じゃない。兎に角、オカン…佐助の安否が心配だ!
片倉さんに乱暴に起こされた佐助は…うん、ボロボロです。朝見た時はまだキレイだった忍服が擦り切れてる。
「さすけ、さすけえ! これやるからめーさまして! あたらしいふくだよー!」
「おい! 何でそれを猿に着せる必要がッ」
「は、はいらない…どうしよう…」
「落ち着け、お前のsizeが入るわけねえだろ!」
「ふえ…だってさすけぼろぼろ…」
自分の着ている迷彩(佐助お手製)を代わりに着せようとしたら政宗に止められたし。
あああごめんなさい!混乱してるんですこれきっと!だってどうしたらいいか分からないんだもん!
「さすげ、しんじゃだめー」
ぐしぐし言って佐助にぎゅってしがみ付いた。
死ぬとかそんな大袈裟すぎだって分かっているけど、今はそんな事頭から吹き飛んでいた。だってさ、俺こんな佐助、見たこと無い。佐助は何時だってオカンで忍で保護者だから。俺が気づいたこと無かっただけで、怪我してたこととかあったかも知んないけど。
それでも!
「ごめんなざいーッ!」
「どうして三郎様が、謝るのさ」
「だってさすげが! …さす…け?」
「うん、俺様です…よっと、へへ」
なんで泣いてるの?
へらっと佐助がいつものように笑った。
「(あーあ、三郎様見られちゃった…俺様の苦労が台無し(ぼそ))…所でどうしたのこの面子は? 俺様いつの間に三郎様の元に?無意識って凄いねえ」
「いやお前、普通に飛んできたぞFlying Monkey」
「ああ、正しくその名の通りにだ」
「「「…(コクリ)」」」
「アンタ等そろって酷いよね!俺様泣いていい?」
「なあ、突然すぎて意味が分からねえんだけどよお…。ほら見てみろ、放置されて毛利が日輪と対話始めたじゃねえか!」
しがみ付く俺を抱いたまま佐助が立ち上がる。
フラ付くこと無く、しっかりと。よしよしと頭まで撫でられた。
「いきかえった…ひぐぅ」
「いやいや、俺様最初から死んでないから」
どうしてそうなったの。って、目頭も拭われた。ちょ、涙?! そんなはず…泣いてないって言ってるでしょオカン! うお、恥ずかしいぃ!
「ないてないよー」
「ああああああああ! 朝の座敷わらし!」
「ふえ?」
「ちょっと! 鬼の旦那、うちの子指差すのやめてくれない。真似するでしょ!」
「――にゃーッ! てぬぐいのきみッ!」
「ほら真似したぁッ!」
ぷりぷり怒りだした佐助。
俺を指差す、朝見た裸でムキムキで武田軍のあの巨人兵(仮)の人。
あ、あれ? いつの間にか人数増えてない? よし、落ち着こう。今更かも知んないけど落ち着こう。今こそ冷静さが必要だ。一旦深呼吸が必要な気がする。
すーはー、すーはー、
…はははは、奥州筆頭と右目の出現が終わったら紫の半裸が来て、…視界の隅に緑の方が両手を掲げて日光浴しているとか。うん、俺には見えない見えないやっぱりカオス!(混沌!)
一気にエンカウントが上がり過ぎて、そのうちラスボスも出てきそうで怖いですよー。
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