03


はっはっはっ、慶次君。責任、責任取りなさい。俺のこのピュアハートはズタボロになっちゃったよ?
(でも、頼むから変な責任の取り方はヤメテ。俺、いたって普通の人だから、兄がアレでも俺は普通よ?)


「まあ! その様な理由があるのなら早く仰いなさい!!」

「そうだぞ? ムグ慶次。おかげで腹が空いたぞ〜ムグ」

「ま、犬千代様。頬に米粒が。さあさ、貴方も召し上がりなさい? 遠慮はいりませぬ」

「やっぱりまつの飯はムグ旨いなぁ〜。坊主もムグムグ、沢山食べて大きくなるのだぞ?」

「犬千代様ったら……早くまつめも、この様に愛らしい子が欲しゅうございます」

「ま、まつぅ───っ!」


その時、世界は夜になった……じゃなくて、慶次に目を塞がれた。
"教育に悪そう"って、何をしてんだ?



あれから結局捕まった慶次

と俺(無実!)


ぐわんぐわん揺さぶられ、デリケートな俺の胃はリバースという最悪な形で、負担を強いられた。(責任取って!)

そんな俺に、おむすびを差し出すまつさんと利家さん。口の中が酸っぱいんでソレは無理です、勘弁して下さい。察して下さい。
(前田家の半分は、絡みづらさと空気読めないで構成されている)


若干、空気になりつつあった慶次(絡みづらい)と頬に米粒つけまくった利家さん(空気読まない)と、影達にまでおむすびをすすめ始めたまつさん(絡みづry)。

取り調べ中に出されたのはカツ丼……ではなく、おむすびでした。


「じゃあ、まつ姉ちゃん。俺達そろそろ……」

恐る恐るといった様子で、慶次が空気に耐えきれずに切り出した。偉いぞ慶次! この二人に付き合ってたら夜になっちまう! 空気って言って悪かったよ。(多少情けないケドね!)

そう俺が心の中で密かに賞賛していると、


「仕方ありませんね。慶次、ちゃんと家に帰って来るのですよ」

「なんなら、三郎君も連れてこい!」

「まあ、名案にござりまする」

などと言い始めた二人に、無理矢理手を振って別れを告げた。二人は、後で食べるようにとおむすびを俺にくれた。


・三郎は、おむすびを手に入れた。


と、吹き出しが出たかは分からないけど、うん。まつさん、いくつ持ってんの? さっき、利家さんが散々食べたよね?


大きめのおむすびの重さで重心が後ろにフラつくと、突然の浮遊感におそわれる。
ぱちくりと瞬きをして横を見ると、慶次の頭。目の前に広がる、慶次と同じ目線。


「んじゃ! 気を取り直して、行くとしますか!」


ニカッと笑って、そのまま馬に乗られた時は、更に高くなった視界にちょっと怖くなって。

遠慮なく髪の毛(しっぽ)を掴んでやった。


──幸村と佐助が居る場所は、もう直ぐそこ。


「「 しゅっぱーつ!! 」」


二人のかけ声と共に、松風は再びその名の如く、風のように走り出した。


(けいじさん)
(ん? どうしたんだい?)
(は……)(は?)

(はきます(ちょ、ちょっと待ったぁぁぁっ!!))

HELP ME !!

まえもくじつぎ
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