02


ただ今の装備品、

・体→風呂敷包み
(饅頭が入ってた!)
・腰→水筒
(子供用でちっちゃいんだぜ?)
・足→草履
(履き慣れないからなんかムズムズする!)

・頭→夢吉

俺ってば、襲われたら一溜まりも無いくらい防御力低くね?



お馬さんぱかぱか、はいしどーどーはいどーどー。旅は順調? 馬鹿言ってんじゃないよー。

「そっかー、寂しくなって兄ちゃんに会いたくなっちゃったのかあ……」


松風ってゆーんだっけ? この馬、デカいよなー。俺、食べられないよね? ちゃんと草食だよね、この馬。

「幸村が坊主の事いっつも自慢してたけど、ちっちゃいなぁ。いくつになったんだい?」


うん。

絡みづれぇぇーっ!



「みっつになりました……ちいさいのは、きにしてるんです」

そっかー、なんて笑う慶次。
何、何何、なんか微妙に絡みづらいんだけどこの人。

親切なお兄さんが「僕〜、迷子なのか? よしじゃあお兄さんと一緒にお母さん探そうな!」みたいなノリで探してくれて、実は近くにいました! みたいな絡みづらさだよ、おいっ!(説明解りづらいよね?)


空は快晴! 俺は曇り!!


馬はぱかぱかっていうより、ばっかばかと巨体を揺らして街道を走る。

影たちは付いてきてるけど、時どき汗を拭きに来たり甲斐甲斐しく世話を焼きにくるだけさっ。(てかお前等が運んでた方がいいんじゃね? むしろお願いします!)


道すがら慶次は色々退屈にさせないためにか、話しかけてきてくれるけど、


「城から出たこと無かったのかい? じゃあ、恋なんてまだまだだなぁー」

あ、当たり前だっ!

何歳だと思ってんだ!(や、中身は大人だけど、お前より年上だけど!!)
子供に幸村に言うノリで話すのやめてくんない!?

確かに、今の俺は幸村に似てますけど!
あの尻尾みたいな髪の毛もついてるよ! 伸ばされてるよ! 鉢巻したら完璧だよちくしょー!!



「けいじさん、あとどれくらいでつくの?」

「んー、そうだなぁ、あと二刻位か?」


疲れたかい? なんて優しく聞かれたが、何だかそれどころじゃない。
慣れない馬上の揺れと気疲れが相まって、何だか胃の辺りがぐるぐるしてきていた。これって、もしかして車酔いならぬ、馬酔い?

そう考え始めたら尚更気持ち悪くなってきて。ぐぬぬぅ、なんて唸っていたら急に、がくんって松風が速度をあげた。

ちょっ、ちょっと!
へるぷっ! 慶次へるぷみー!!

出る! なんか出るから!!
スタンバってる何かが出ちゃうからっ!!


「ごめんなっ! ちょっと揺れるが、我慢してくれるかッ!?」

何故か焦っている慶次。

ガックンガックン揺れる俺と頭の上にいる夢吉。

二つの相乗効果で更に限界な俺は、後方から見える土煙の中から聞いたことがある声を拾った。

「お待ちなさいっ慶次!」
「まつー、まつー、腹が減ったぞー!」


……そうきたか。


(ごめんよー! まつ姉ちゃん!!)
(腹がへったよ〜)
(犬千代さまっ!? まつめの握り飯を食べて我慢なさってくださりませっ)
(帰りて〜)

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