01
「三郎……、コレを……」
じゃらり、と幸村から手渡されたのは六文銭。いつも幸村の首から下げられている真田の決意の証。
「某と思い、強く、強くあるのだぞっ」
「あにうえ……」
ぐっと涙を押さえるように、顔を歪めた幸村は、俺を抱きしめながら別れの抱擁を交わした。
や、
一週間位城をあけるだけで何言ってんの?
皆様、覚えていますか?
きっと俺、この抱擁で死ねます。だってなんか、メキメキ逝ってる。
……あっ、去年亡くなったトメさん、こんにちは。(誰?)
彼岸を危うく超えそうになった俺から、幸村を引き剥がして佐助は、名残惜しそうに(そらぁもう)頭を撫でて"お館様"の所へ行った。
本当は俺も連れて行きたいらしいけど、今回は駄目らしい。なんで?俺、3歳になったじゃん、けちー。
(あ〜、暇。二人がいないとこんなに暇なんて、さ)
一日、たった一日で、二人のいない日常に飽きていた。……さ、寂しわけじゃないやいっ!!
「かげゆき」
シュタッ、
天井から下りてきたのは、忍隊員Aこと「影雪」。なんと、俺付き。因みに、Bは「影月」、Cは「影花」
……何で三人もつけんの?
やっぱり無口な彼は、コテッと首を傾げて待ってる。うん、かわいいな。
「ひま、あにうえのとこ、いきたい」
ふるふる、
ダメだと言うように首を振る仕草で、俺を止めようとする。
「やだ、いく」
「……(フルフル)」
「おねがい」
「……(ブンブンッ)」
「だめ?そっか……(ショボーン)」
「……!」
シュパッ、と忍は掻き消えた。ちっ、駄目か。あわよくば連れてって貰おうと思ったのに。
諦めのため息を吐きかけていたその時、
シュタタッ!
影が三つ、降り立った。
影花は、水筒(子供サイズ)
影月が、風呂敷包み
影雪は……草履?
「……いいの?」
「「「……(コクコク)」」」
さんきゅー! と、三人の首に抱きついて感謝を体全部で表した。やっぱりおまえ等は、俺の味方だよっ! でも、どうやって?
疑問に思い、首を傾げていると、三人は我等に秘策有り! と言うように胸を叩いた。
(その決めポーズ、いるの?)
え〜? なんか嫌な予感がするんですケド……
ガヤガヤと賑わう城下町。
上田の城にちゃんと忍ズ手製置き手紙を残してきた(俺って偉い!)俺は、
とっても戸惑ってます。
(黙って出といて偉くもないな! うん!!)
「お! お前か? 影三忍衆が言ってた届け物って」
「……はい、たぶん」
おいおいおい、おまえ等なんて奴になんて事頼んでんの? てか、届け物って、俺は荷物か!
「そっか。俺の名前は前田慶次って言うんだ! よろしくなっ!!」
にかっと爽やかな笑顔が眩しい青年は、巨大だった。
超不安。
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