01


「――秀長、此方へ来たまえ」

滑らかな所作で俺を手招いた久秀。訝し気な目線を向けるが薄く笑って流される。

「あー…、今度は何だ……」
「どうせ暇なのだろう? 少し付き合いたまえよ。逃がす気はないがね」

無意識の内に逃げの口実を探す。そんな俺に釘を刺すのは忘れない。
いや確かに早急に済ませねばならない仕事は手元には無いが…。

「急に眠気が…「では私が寝かしつけてやろう。なに、遠慮はいらない」いやいや結構だ、不思議な事に急に目が冴えたなー」
「ふっ、それは残念」

では参ろうか

此方の返事を待たずに歩きだす後ろ姿。やれやれと溜息を吐き、重い腰を上げた。

足取り軽やかな久秀
のろのろと従う己

自室から何処へ連れ出されるかと思えば、茶室へと押し込まれていた。
参ったな、これは長くなりそうだ。こうなれば今夜はとっておきの酒を約束させようか。ふつふつと沸き出る不満を脳内に並べたてながらも律儀に柄杓を取り、茶を点て始めた。

「(ああ、癒し的な何かが欲しい……)」

松永軍に癒しを急募
少し前の己はよくそう思っては項垂れる、その繰り返しで――この時は全く予想していなかった。

この後、待ちに待った癒し的な何かとの出会いがあるなどと…。

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