｢おーい、起きてるか？｣
｢…｣(ｺｸﾘ)

そっと隙間を開けて、覗き込めば小太郎は正座して迎えてくれた。

｢わ、無理すんな。寝てろ｣
｢…｣(ﾌﾙﾌﾙ)
｢はあ、…おはよう｣
｢…｣(ﾍﾟｺﾘ)

なでなでと兜のない頭を撫でても、大人しくされるがままに。出会った頃の刺々しさは欠片も見受けられないな。
嬉しくなり、暫く撫で続けた。

｢ほら、朝餉持ってきたぞ｣
｢…｣(ｺｸﾘ)

頂きます、の仕草がやたら可愛かった。
早くよくなれよ。

むぐむぐと食べる仕草に、また癒される。

───…背後の不穏な気配は見ない振りだ。
俺は何も見ていない。


おわり！