04



もうし、もうし、
其処に居なさる御仁
此処がいってえ何処なんか知っていなさるんで?

嗚呼、そう、三途の川の畔……
成る程、これで納得がいった。俺は命を落としちまったんだなあ。いや参ったぁ。
家族を残し一人で来ちまったんか。


すまねえなあ、すまねえなあ

今頃泣いてるんじゃねえかなあ


俺の弟は泣き虫でよ。素直じゃねえのが可愛くねえがたった一人の家族だっけよ。残して来ちまって心配だ。

……いやまあ、今更そんな事言ってもどうにもならねえんだが、せめてよ、先に逝って俺が出迎えてやらんばねえよなあ。

教えてくれてありがとよ。
俺はもう先に逝くさ。
船は……あっちかい?


所でアンタはどうなさるんでえ。


そう、弟さんを待っていなさんのか。へへっ、じゃあ俺とおんなじだあ。

……そうかいそうかい、アンタんとこの弟も泣き虫なんか。じゃあしょうがね。待ちねえ。弟さんも喜ぶこってえ。

んじゃまあ、俺はこれで。




「やあ、待ちかねたよ」


おや、どうしたのかね
卿は本当に泣き虫だな


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