にしざきくんのおはなし
2013/03/11



・めちゃくちゃ短い
・サブキャラのくせに当サイトで一番(重陽に対して)押せ押せという謎キャラ西崎君のお話
・大体会話文













「……えっ、西崎って関西出身じゃないの?」

 うっそだあ、と大げさにのけぞれば、自分で東京生まれ東京育ちなことを暴露したくせに、「ちゃうねん」と西崎。いやいや、なにが違うんだ。

「あんな、俺、むっちゃおばあちゃん子やねん」
「ほう」
「うちのオカンが大阪出身やねんけどな、ちっちゃいころにじいちゃんが転勤なって、こっち来たんやて。そんで、オカンはそのまんまこっちで育って、こっちで結婚して、俺が生まれたわけ」
「あー、なるほど」
「せやけど、俺はおばあちゃん子でな? ばあちゃんもじいちゃんも大阪出身やから、オカンもオトンも東京弁なんやけど、俺はばあちゃんの口調のまんま育ってもうて」

 それで、東京生まれ東京育ちでも大阪弁なわけ、と西崎。それに俺はなるほどと頷く。西崎がおばあちゃん子というのは、なんというか意外だけれど、言われてみれば確かに、という気もする。
 一人で納得していると、西崎はふと思い出したように手招きした。それにつられて顔を寄せれば、内緒話をするように耳元に口を近づけられる。

「――あんな、めーちゃん」
「なに?」
「俺な、この喋り方な、結構すっきゃねん」

 一瞬だけ顔を離して、ニッと笑う西崎。

「ばあちゃんもじいちゃんもな、ちっちゃい頃はしょっちゅう会っとったんやけど、最近はあんま会わんくなってん。せやけどな、こうやっておんなし喋り方しとると、なんか、繋がってる気がすんねん」

 ここで、と西崎は制服の胸元をトントンとたたいて見せた。離れていても、心は繋がっている。そういうことなのだろう。
 ありふれたフレーズだけれど、西崎の話を聞いたうえでそう言われると、なんだかやけに輝いて聞こえた。

「あとな、それとな」
「うん?」
「たまーに電話とかしたときにな、おんなし喋り方しとるとなんか楽しいねんで」

 こんなこと恥ずかしいから、他の奴らには内緒な。
 そう囁いて、それから西崎は、白い歯をむきだしにして子どもっぽくにかりと笑った。





 にしざきくんのひみつ




(君にだから教えるんだよ、みたいなシチュエーションがたまらなく好きです)



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