(主N、少し切なめ・本番無し)

出会った場所は、
二人だけの世界








僕がトウヤ君に城で別れを告げてから、どれくらいになるだろうか

レシラムと遥か遠い場所までやってきて、あてもなくフラフラと旅をしている


「レシラム、此処は少し寒いね。
…今日は一緒に寝ようか」


火を焚いて、名も知らない花の咲く野原に体を預ける

レシラムは無言で頭を僕に擦り付けると、そっと隣に寄り添った


「キミは、この旅が楽しいかい?」

僕だけがわかる、言葉

「そうか…なら良いんだ。
僕?僕も、楽しいよ。たまに少し…寂しいけど」



トウヤ君 …―




その人間と触れて、関わってしまったから僕は寂しいなんていう感情を持ってしまったんだ


愛しい

恋しい


僕を苦しめるだけの感情なのに、心から消えない僕から
一方的に好きだと伝え

一方的に別れを告げ

飛び立った僕の名前を必死に叫んでいた君に、僕は振り返りすらしなかったのに





「僕には、あの子の事をこんなに思う権利はないのにね」




自分から捨てた、
苦しみたくないから。

いや、そんな権利、初めから無かったのかもしれない





「苦しい……苦しいよ、レシラム。」

どんなに忘れようと、我慢しようとしても浮かぶのはトウヤ君の事ばかり



初めてバトルをして

その暖かさに触れた時から




あの時の興奮が忘れられない

考えているだけでも
体が熱を帯びはじめ、自身も固く芯を持つ

少しズボンを降ろして
トウヤ君の事を思い出しながらヌいた




未開の地だ

人などいない



「はっ、はっ、ん……、ぁっ………」


毎晩これを繰り返している。

我慢できない、抑えのきかない自分が怖くなる


トウヤ君の事を思いながらすると、怖くなるくらいに甘い快楽が頭と体を支配する




「はっ、はぁ…………レシラム、僕は、汚い存在だね………自分が、心の底からおぞましいよ…………」

レシラムは一瞬悲しげな表情をして何か言いかけると、言わないまま、眠ってしまった


「………おやすみ、」





目が覚めると焚き火の火は消えていて、レシラムはまだ寝ているようだった


人の手がつけられていないこの場所では、ポケモン達が大自然の中走り回っている

歩きながら近づくと、
見慣れない生き物に少し警戒したようにこっちを向く


「ねえ、君たち。
僕のトモダチになってくれないかな」


手を伸ばすと、まだ若い固体が近づいてきて、少しためらってから僕の指に鼻をこすりつける


撫でてやると、嬉しそうに頭を押し返す



しばらくすると、僕はたくさんのポケモンに囲まれていた

トモダチと戯れるこの時間は少しだけあの事を忘れさせてくれる




ふと、周りにいたポケモン達が一斉に空の方向を向いた

人間の聴力・視力では敵わないため何が起きているか聞くと、〈何かが来る〉とだけ言う


一体何が…?



目をこらし、上空を見上げるが眩しい日差しに邪魔をされよくわからない

その時、
一瞬強い風が吹いたと思うと、ポケモン達が毛を逆立て森の奥へと逃げていった




「何が…………?」

耳を済まし、目を閉じて集中すると、やっと僕にも何かが聞こえてきた


〈…〜…!、…ー!!〉
内容は聞き取れないけれど、空で誰かが叫んでいる

翼が、羽を切る音も



凄い勢いで近づいてくる音
声も段々と大きくなる


〈………ばっ……おろ、せ……!………なんなん、っ!!〉



聞き覚えのある声に
思わず目を開く

その時、上空の大きな物体、翼を持った何かが急降下した


「う、わぁぁぁぁああああ!!?」
物体から上がる悲鳴


空から、凄い勢いで黒い影が降った

唖然として見つめていると、それは僕の目の前に着陸する




辺りを包む砂けむりが消えはじめて、ようやく姿が確認できた

漆黒に包まれた、レシラムと対になるドラゴン



ゼクロム



「いって…、って、どこだよ此処…いきなり何なんだよ、ゼクロム!」その漆黒の背中から降りつつ、少し怒り気味の様子のその人

ゼクロムの選んだ人間、それは……








「トウヤ、君……?」







「え………?
その声、N……?」






僕の姿を確認すると、酷く驚いた様子で目を見開く







「あ、あ……トウヤ君………………」

はっきりと僕の目がその姿を確認し、耳が声を捕らえると、


枷が外れたようにいきなりぼろぼろと涙がこぼれた

言葉も声にならず、大粒の涙だけが頬をつたい落ちていく



「な、N…!?なんで泣いて……というか、どうしてNが此処に?」

トウヤ君こそ、という言葉が頭をよぎる



…そうだ

どうして此処にトウヤ君が居る?

頭がおかしくなって、幻でも見せているのか



「まぼろ、し……?」

「N、何言って…、
俺が幻だって?」


手を伸ばして、
その頬に触れた

あたたかい


「触れられる…。
君は、ポケモン…?」

「だーかーらー…」


ポケモンがいたずらで相手を惑わす技でも使っているのか



「……だったら、幻でも、何でもいいから…その姿のままでいてくれないかい……」



相手が何なのかもわからないまま、トウヤ君の形をしている物に深くキスをした

本物じゃないなら
許される、かな




「ん゙、え、Nっ…落ち着いて……!」

「トウヤ君、トウヤ君…っ………」


無我夢中で唇に食らいつく

怖いくらいにリアルな感触、ずっとこのままでいたい


「………ちょ、んんっ、は、だか、ら………Nっっ!!!」

ぐい、と引き離される

「俺は幻でもないしポケモンでもな…」
「じゃあ、僕が狂ってしまったのかな……」


うつろにそう答える

するとトウヤ君はため息をついて、いきなり僕の両側のほっぺを思い切りつねった


「い゙っ………!」

「目、覚めた?
俺は幻でもポケモンでもないから、本物だから。
勝手に暴走しない!」

「やめ、て、信じそうに、なる」

「信じるも何も、本当だし。
ゼクロムに、いきなり連れて来られたんだ…こっちこそ夢みたいだよ」



ゼクロムは鋭い目で僕達を見据えると、すぐに飛んで行ってしまった

レシラムの元に行ったらしい



「ゼクロム、本物…………君、も…………?」

「だから。本物だってば。」

「あ……、あ、ト……トウヤ君、なのか……」

「……そうだよ、会いたかった。N。
…Nは、俺に会いたくなかった?」

そう言って、彼は悲しげに微笑んだ


「…………会いたかった、よ、とても。世界中の誰よりも。」
素直な言葉が出る


反対に、トウヤ君の顔は
段々と曇ってゆく

「……ならなんで、いなくなって、そのまま消えたんだよ?俺、ずっと探してた…」

「探して、?」

「探してた…でも、見つけられなかった。こんな所にいたなんて」

言葉に詰まる




嫌われたとばかり思っていた。


いや、まだわからない

勝手な事をした僕に対し、腹をたてているのかもしれない



そんな考えばかりが頭を巡り、不安をかきたてる

いっそまたこの場から
逃げ出してしまおうか



「………………っ」


「え、Nっ!!?」



思うより先に体が動いた

その場から逃げるように足が動き、ふらふらと走る




「…N!!待てよ!!!」

すぐに追いつかれ、
手をぐいっと引かれる

「なんでまた…、逃げるんだよ………」


少し怒ったような
口調に、振り向けない

真っ直ぐ顔を
見れる自信がない


「告白して逃げて、次はキスして逃げる?」

「や、違……」

違わない

わかっている



「……俺の事、まだ好き?」

「好き、……っ」

「うん。
俺も、好き。」


そう言うと、Nの顔をぐいっと引き寄せキスをした

手を掴まれているため、抵抗できない


「ト、ヤ、く………っ、ふ、んん…………」

「ん……………」



数分後だろうか、
息を切らしたNがトウヤを引き離した



「は、ぁ、…はっ……トウヤ、君、きみ…………」

「……し返しだから。
俺がどんな気持ちでNを探してたか、知らないくせに。また逃げるなんて許さないから」

きつくNを抱きしめる

「……トウヤく、の…気持ち…?」

自分勝手を繰り返した僕、嫌われたと思った。

だから逃げたのに、


探していた

会いたかった


そう言う彼に
心が揺らぐ



「僕は、君が好きで……君に嫌われたく、なかったんだ………」

「誰が、誰を嫌うって?」

「僕の事…。君は、あきれただろうから」


Nの涙で肩が濡れる

トウヤは困ったように笑って、ため息を1つついた


「…返事も聞かないで、泣かないでよN。

…俺も、Nが好きだから。」



思わず目を見開く

トウヤの顔は、抱きしめられているため見えないけれど、横目に見えた耳が真っ赤になっている



「…会えなかった分、我慢させられてたんだから、いいよね?」


そっとNの首筋にキスをする

ぴくっと跳ねた体はそれ以上の抵抗は無い


「……ここなら、ずっと二人だけかもね」


そう言ってNの背後にまわり、衣服の中をまさぐる

胸の飾りを両手でコリコリと刺激されると、Nの吐息が荒くなった


「……んんっ、……ト、ヤくん、ソコ…………っ」

「ココ?」


指先で突起をぐっ、と押し潰す

「いぁ゙っ!?」

感じたことのない甘い刺激に体がふるえる


「トウヤく…、んんっ、…ぁっ」



トウヤは乳首だけを執拗に攻め、Nの、うずく下半身を避ける



「や、ぁっ…も、だめ……そこ、ばっか…………」


耐えきれなくなったNが、下半身へ手を伸ばそうとする

あっさりトウヤに手を掴まれ、阻まれる

「駄目。仕返しって言ったじゃん」

「そん、な、…ぁっ……むり………だ……」


「触ってあげるから、言ってみて?」


はたして自分の知っているトウヤはこんなサドっ気のある人間だったか、

単に仕返しだからなのか
やはり夢なのか



ぼうっと惚けるN



「…んん、とう、や、く…っ…………」

「なに?」

「…………ゎ、…て」

「聞こえないよ」


普段どおりの優しい声

その声に、尚更Nの心と体はゾクゾクと欲情する


「触って、え…!……………も、だめ………っ…」

端正な顔立ちのNのその淫美な訴えに、トウヤ自身も限界を悟る


「俺のも、触って。」


Nは差し出されたソレに迷う事なく手を伸ばし、未だに触れない自分のを扱うように激しくこねくりまわす

「う、く…っ……N、激し………っ!」

やばい、余裕無いな。


トウヤはNのはりつめたモノをがしっと掴む

「ひいゃ゙っっ?!!」

脳天を貫くような刺激に、頭がクラクラする

「ほら、早く触って。

一緒に、イコう?」


白濁する意識の中、一度手放したそれを再び握る

今まで抑えつけていた、互いの欲の塊をぶちまけるかのように、激しく手・腰を動かす


「うあ゙っ!あ゙!、
僕っ、も、無理ぃっっ!!」「う、ん、俺もっ、ヤバい…………」



「イこう、二人でっ、……ト、ヤ、くん、一緒にっ、んん゙っ、イクっ!


ふ、ぁ、あああ゙っ!!」















「キレイな、所だね。」

草原で寝そべりながらトウヤが言う


本当に綺麗な場所だ

人の手が全くつけられていない、完全な自然


「だろう?でも、
暗くなると少し寒い」


近くに座り込むNが言う

落ち着きを取り戻し、静かに微笑みをたたえるその顔は冷静そのもの


「こっち、来て」

「ん……」

歩み寄ったNを軽く押し倒して抱き締めた

深くキスをして離れる



「トウヤ君、もう少しだけ、僕の隣にいてくれないかな」

「…少しだけ、でいいの?」

「ううん。
ずっと、永遠に、」


お互いの熱を確認するように、二人はまた互いを強く抱き締めた









見かねたレシラムがゼクロムと
トウヤを呼んだらしいよ



end

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