はじめに言っておくが、オレは断じて野郎が好きだとか、そっちの性癖を持っているというわけではない。たとえこの世に見知らぬ男と二人きりになったとして、そいつと恋仲になる可能性は皆無だろうというくらいには同性に対してまったくそんな興味はわかないし、オレはいつだって柔らかくて良い匂いのする女の子の方が好きだ。
そりゃあ、オレだって健全な思春期男子なのだ。今まで片手の指を越えるくらいには女の子と付き合ってきたし、それなりに経験もある。
だから本当に、おとなりさんのレッドを好きになってしまったことに深い意味はないし、後にも先にも野郎に恋心を抱くのなんてレッドただ一人であると思っている。
そもそもはレッドが中性的な顔立ちをしているのが原因なのだ。
あれで女装でもされて「女の子です」なんて言われたら、オレを含む世の中の男はまず間違いなく騙されてしまうだろう。
まあつまり何が言いたいのかと言うと、オレは男であるレッドを好きになったわけではなくて、好きになったレッドがたまたま男だっただけ、ということなのだ。

「まあ、そういうわけだ」

だから本当は、お前が女の子になってくれれば万事解決なんだけど。
なんてぬかしてみると、レッドはあからさまに「なに考えてんだお前」みたいな顔でオレを見てきた。
ちょっと傷つく。

「いや、オレはお前相手だから好きになったわけで、別に性別にこだわるつもりもないんだけどさ。ただ付き合う以上はそういうこともするだろうし、受ける側のお前に負担があると思うとやっぱりここは性転換ブフォ!!」

ぐわんと視界が揺れた。
照れ屋なレッドは口より先に手足が出ることが多い。愛の鞭だと思えば辛くはないけれど、いかんせん威力が威力なのでオレはいつも命がけだ。

「さっきから黙って聞いてれば、なんなのグリーン。馬鹿なの?死ぬの?きみがホモなのは分かるけど、いつから変態のオプションがついたの?」

「おま、勘違いするなよ!オレはレッド限定のホモだ!いや、バイセクシャルというやつだ!だってレッドなら性別関係なく愛せる自信があるぞ!」

「おいこのウニ殴っていいか」

レッドが再度拳を構える。あ、やばい、こいつの右ストレートは岩をも砕く破壊力だ。キャプテンア●リカも真っ青な腕っぷし、さっきはフックだったからなんとか耐えたものの、今回は食らったら間違いなくお陀仏というもの。が。

「いやそれも本望グハァ!!!」

食らいました。

「きみがバイなのは認めよう。でも性転換は認めない。なんで僕が女の子になんなきゃいけないの。僕が男のままじゃ、だめなの?」

こてん、レッドが小首をかしげてこちらを見る。可愛い。おっと鼻から赤い液体が出てきた。レッドの背中に天使の羽が見えてしまうオレはこのまま死ぬんじゃないだろうか。

「グリーン、僕は女の子じゃなくたってちゃんと愛せるよ。本来男を受け入れる身体じゃなても、きみのことならちゃんと愛せる」

レッドはそう言ってふわりと微笑んだ。
あ、これはだめだ。

「だからそんな心配しないで」

「あ、はい」

ばきゅーん。
効果音をつけるとしたら、そんな感じだった。








おれの恋人はロールキャベツ男子でした













「…………だ、だめだ!お前が左側だなんて認めない!オレは認めないぞ!」

「なに言ってんのグリーン。左側は交代制でしょ」

「え」

「僕が黙って尻を貸すと思ったら大間違いだよグリーン」

















***
イケメンスマイルのお話を書こうとしたはずでした。






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