夢を見たんだ。
ああ、こんなこと言ったら、お前は気味悪く感じるかもしれないけどさ、でも、本当なんだ。
オレは、シロガネ山にいるんだよ。…たぶんお前に会いに来たと思うんだよな。いつもみたいに、リュックがぱんぱんに張っていたから、お前にお土産とか着替えとか、差し入れをたくさん持ってたと思うんだ。
でも、さ。そこには肝心のお前がいないんだよ。
オレがいつもシロガネ山に登る時間帯のお前の行動パターンてさ、山頂にたたずんでるか、洞窟で修業してるかの二通りだろ?
まあ、たまに下山してることもあるけどさ。
だからポケギアの電源切るなって、いつも言ってんだよ。連絡つかないまま行き違いになると、オレだって体力的にしんどいんだ。
…まあ、今はそんなことはどうでもいいんだけど、とにかく、お前がどこにもいないんだ。
山頂にも人影どころかポケモンの気配すらしないし、洞窟のいつもお前がいるところにも、お前のお気に入りの帽子がぽつんとあるだけで、持ち主が見つからないんだよな。
で、おかしいなと思ってあちこち探してるうちに、ふと、雪の中に埋もれてる赤い何かに気付くんだ。
なんだか嫌な予感がしたから、急いで引っ張りあげてみたさ。
なあ、なんだったと思う?それ。
…オレも、一瞬目を疑ったよ。
だってその赤い塊は、赤黒く変色した血のこびりついた、お前だったんだ。
それも、首から上がすっぱりと切り取られた状態の、首なし死体なんだよ。
で、しばらく呆けてから、そういえばなんでオレはこの死体をお前だとすぐにわかったんだろうって、疑問に思ったんだ。
だって、おかしいじゃないか。
その死体は、ただ黒いインナーにジーンズ姿の、どこにでもいそうな服装でうずもれていたんだ。
お前もあの赤い上着を脱げばそんな格好になるっていうのは知ってるけどさ、でも、その死体の腰にはモンスターボールがついてないんだよ。
お前が肌身はなさず持っているモンスターボールも、お前が死体になったらまちがいなく一緒に果てるまで側を離れないだろうお前のピカチュウも、そこにはないんだ。
なのに、このありふれた服装の首なし死体を、オレはお前だと確信した。
それは、なんでなんだろうって。
そこで唐突に思い浮かんだんだ。
オレは、オレはさ。

リュックを下ろして、ゆっくりジッパーを開けたんだ。
そこに、お前がいたんだよ。











「…な、すごい夢だろ?」

お前は生気を失った虚ろな目で、お前の首をもつオレを見つめてるんだ。
ああ、でも夢のお前は死んでも、お前のあの目は燃えてるみたいに真っ赤だったな。
なのに、なあ、どうして。

「お前は、そんなにつめたくて、青白いんだ?」








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