ようこそ!

*メタトーク





組と委員会が決まったは良いが、この光景は一体なんなのだろう。
守一郎は呆然としながら目の前の光景を見つめていた。

「三木ヱ門、よかったね! 同室が出来て本当によかったね!」
「おめでとう三木ヱ門!」
「おめでとうございます!」
「良かったなあ三木ヱ門! 本当に!」
「ありがとうございます! お前達もありがとう!」

口々に守一郎と同じクラスになった三木ヱ門を祝福するメンバー。
タカ丸、孫兵、四郎兵衛、兵助、伊作。
なんだこのメンバー。何の共通点?
そんな守一郎に声をかけたのは、自分の委員長になった留三郎と、勘右衛門だった。

「あいつらは、『同室不在組』だ」
「へ?」
「同級生はたくさんクラスメートがいるのに、みんなずっと一人だったんだよ」
「俺は九年かかったし、勘右衛門は十六年かかった。伊作も久々知もその間ずっと一人だった」
「その寂しさを共有していたのがこのメンバーでね、その中の誰かに同室が出来たら毎回あんな感じになるんだよ」
「勘右衛門の時は凄かったよな、なんせ五年は久々知以外三人ともろ組だから」
「この先四郎兵衛に同室が出来たらあんな感じになるんでしょうね」

呆れたように語りながらも、その目は二人とも優しい。
自分達が存在していなかった時間。見えていたのに気付いてもらえなかった自分達も辛かったけれど、寂しそうな同室を見るのが一番辛かった。

「タカ丸さん! 同室が出来てもタカ丸さんは一人じゃありませんから!」
「そうだよ! 気にしちゃだめだよ!」
「うん、ありがとう!」
「四郎兵衛も、寂しくなったらいつでも俺のところに来ていいからな」
「僕も歓迎するよ」
「はい! ありがとうございます!」

このメンバーの中でも、古参故にずっと同級生がいなかった孫兵と自分以外がみんな同じクラスだった兵助と四郎兵衛は特に仲が良い。
ぎゅうっと四郎兵衛を抱きしめる兵助と孫兵に、タカ丸と伊作と三木ヱ門も抱きついた。

「あの中には入れねえからなぁ」
「ずっと一人ぼっちの寂しさはおれ達には分かりませんからねえ」

しみじみと語る二人を尻目に守一郎はいたたまれなくなる。
自分はモブ時代も一人ぼっちの辛さも知らない。最初から名前を貰い、クラスメートも存在している。

「守一郎はそういうキャラなんだから気にしなくて良いよ」
「そうそう、俺達はそれでネタになってるし。守一郎もそのうち変なキャラ付けさせられると思うぞ」
「えっ」

四年生だしなぁ。と笑う留三郎と勘右衛門に微妙な表情になる。
守一郎はまだ知らない。四年生は全員武器に名前をつけていることを。

「守一郎!」

自分も何か名前をつけるのか……? と悶々としていると、三木ヱ門が名前を呼ぶ。
振り返ると、三木ヱ門がにかりと笑った。

「これからよろしくな!」

まあ、キャラ付けなんて後から付いてくるものだ。
差し出された手をしっかり握り返して、守一郎は頷いた。

「こちらこそ!」









――
というわけで守一郎とぼっち組。
割とこういうメタい話も好きです。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

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