年上が悪い

*キャラ崩壊?






とりあえず悪いのは全部タカ丸さんだと思う。

火薬委員会に入ってからというもの、タカ丸さんは元ヤンのなりをすっかり潜めて年上なのに下級生のように接してくるようになった。
例えば後輩達が仕事を完璧にこなした時、よく出来たな、と頭を撫でてやると、タカ丸さんも自分も自分もと擦り寄ってくる。

「そんなことを繰り返していた結果それが癖になってしまっていやマジほんと食満先輩すんませんっした」
「せめてこいつらがいないところでやれやアホおおおお!!!」

委員長会議の最中、爆笑している六年生と笑いを堪えている八左ヱ門を尻目に俺は食満先輩に土下座していた。

「いや、っ、むしろ、く、久々知、よくやっ、た、」
「笑いすぎだ仙蔵ッ!」
「まあまあほら悪いのはタカ丸さんじゃないですか」
「八左ヱ門……せめてこっちを向け」
「一息で言ったな」

元々あまり目上に緊張しない性格が災いした。普段の緩い空気と、議事録を書いていることで先輩という意識を置いていた自分は、食満先輩から渡された書類を受け取ってタカ丸さんと同じように頭を撫でてしまったわけだ。
気付けば隣で食満先輩が真っ赤になっていて、周りが全員爆笑していた。そして自分の行動を思い返して、やべえと悟った俺は無言のまますっと綺麗な土下座をキメたというわけだ。

「いやほんと、ついいつもの癖で」
「まあ……タカ丸、下級生ノリだもんな」
「そうなんです、私もうっかり気を抜いてましいだだだ髪もげる!」
「お前のその物怖じしねえとこは気に入ってるけどなァ! それとこれとは話が別だろうがよ!」
「怖っ! 先輩目が! 目がマジなんですけど!」
「当たり前だろうがお前! 同級生に見られたんだぞ今の!!」
「だからすみませんってば!」
「誠意が感じられねーんだよ! 土下座すりゃ良いってもんじゃねーぞこの豆腐馬鹿!」
「豆腐って言やあ悪口になると思ってんじゃ無いですよ! 豆腐馬鹿上等!」
「開き直ってんじゃねえ!」

いや自分が悪いのは分かっているが、土下座以外にどう誠意を見せろというのか。
半泣きの食満先輩と言い合っていると、笑いが収まったらしい潮江先輩が咳払いをした。

「とりあえず全員落ち着け。留三郎は久々知を許してやれ。久々知は気を緩めるな。お前達は、いい加減笑うのやめてやれよ」
「や、だ、だって留三郎の反応が、か、可愛すぎて」
「ぶはっ!」
「だー!! 伊作! お前黙ってろ! 仙蔵もその笑い上戸どうにかしろ!」
「はー、面白かったぞ留三郎!」
「留三郎のうぶな反応も見れたしな……久々知ナイス」
「ろ組は留三郎で遊ぶな!」
「……っ、……!」
「八左ヱ門はもう笑えよ!」

だんっと机を叩く潮江先輩のツッコミを聞きつつ、未だにほんのり顔が赤い食満先輩に申し訳なく思う。
まあ確かに、よくよく考えると後輩に頭撫でられるとか恥ずかしいよな。しかも同級生に見られてるし。下級生ならまだしも五年生にだし。うん、謝ろう。

「食満先輩、申し訳ありませんでした」
「! ……あー……もう、良いよ。俺も大人気なかった」

ぽん、と肩を叩かれる。顔を上げると、困ったように笑う食満先輩。
同じようにへらりと笑うと、漸く笑っていた先輩方や八左ヱ門が落ち着いた。

「よし、じゃあ会議を続けるぞ」

潮江先輩が溜息交じりにそう言った。










――
収拾つかなくなった。
兵助はタカ丸のせいで年上との距離感がおかしくなってたら面白いなーと。
あと、会議は文次郎が議長で兵助が書記だったら良いなぁと思って。記録なんてつけないかなあとも思ったのですが、会議内容が予算の移動とかなら記録いるよね。兵助は情報の取捨選択がうまそうなので、議事録もちゃんとしてそう。

では、ここまで読んで頂きありがとうございました。


修正 14.12.06

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