気高き胡蝶と惚れた花

*ヤってます。
*くくビッチと弄ばれるあやべ







ひらりひらりと舞う黒髪は羽根のようで、あっちへこっちへ気まぐれに止まる姿はまるで、花を虜にする蝶のよう。
昼間見ればただ美しい人だと思うだけなのに、夜に見ればその姿は鱗粉を纏う。
あの人の虜になった男は数知れない。

ほら、また、その白い触手で男の蜜を絡め取る。

「久々知先輩、僕は貴方が好きです」
「ありがとう」

何度夜を共にしても、何度快感に溺れても、蝶は花に媚びてはくれない。
そうして、気付けば花の方から蝶へ媚びるのだ。
私の蜜をどうぞ、貴方を満足させて見せましょう、と。

「昨日は誰と」
「……さぁて。潮江先輩だったかな」
「……作法室の匂いがします」
「あぁそうだ、立花先輩と浦風だ」

ゆったりと弧を描く唇にすら、花は欲情を掻き立てられる。
堪らず唇に吸い付けば、蝶はその赤い舌で花を蹂躙するのだ。まるで、花の蜜を吟味するかのように。

「っ、三年相手でも、先輩は入れられる側なのですか、」
「野暮なことを聞くなぁ、綾部は」
「……だって、上級生は、みんな、」

続けようとした言葉は、薄い唇に吸い込まれた。
なまめかしい水音が鼓膜を刺激する。
上がらない息に花はなんだかむきになって、蝶の口内をただ犯す。
歯の羅列を確認するように舐めて、ねっとりと絡む舌を吸って、濡れた唇を歯んで。
そのうち夢中になって、花の手は蝶の身体へ伸びて行く。
するすると指は首を撫で、鎖骨をなぞり、腕の形を確認するように蝶の指先まで辿って行く。真っ赤に主張する胸の頂には触れない。
蝶は焦らされるのが好きなのだ。

「あやべ」

我慢出来なくなった蝶は、触れて欲しいとその白い腕を銀灰の髪へ絡める。
そうすると花は、するりと口元を首元へ。
甘い声が部屋に響く。

「っん、」

余裕のない声が聞けて少しだけ優越感に浸る。
唇を離して顔を見れば、桃色に染まった頬とてらてらと光る唇、潤んだ黒曜石のような瞳。
先輩をこんな風に弄ぶ、背徳感がたまらない。
花は蝶に見せつけるようにゆっくり、ゆっくりと頂に唇を寄せた。

「ひぅ……ッ」
「声、出して……下さいよ」
「舐、めながら、言うな……!」

さっきの余裕のある態度はどこへやら。頂を責めれば、蝶はたちまち花に従順になる。
花はそんな姿が愛おしくなって、益々蝶の虜になるのだ。

「先輩、好きです」
「ぁっ……んぅっ!」

ただ、何度愛を囁いても、蝶は花の虜にはなってくれない。
頂を蹂躙しても、男根を握り込んでも、腰を打ち付けても。
何度花が甘い言葉を吐いても、決して蝶は飲み込もうとはしなかった。
そうやって蝶は沢山の花を虜にする。

「好きです。好き。愛してます」
「は……ぁっ、あ、ぁ……んッ!」
「先輩っ、……兵助さん……!」
「あぁ……っ!」

蝶は決して、一つの花を選ばない。
触手のような白い指と、光を浴びて輝く羽根のような黒い髪。鱗粉を纏う夜のあの人は、まさに花を虜にする黒い蝶。











――
初めての裏。
色っぽい雰囲気って難しい…。
最近くくビッチが書きたくて書きたくて。欲求不満かしら。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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