仙蔵と久々知の出自




彼の出自を知る者は、学園内においてもごくごく僅かだ。
学園長先生及び担任の木下先生、委員会の顧問の土井先生、そして山田先生。
私が知る限り、その四名のみが彼の出自を知っている。
仲良し学年と呼ばれる程一緒にいることの多い彼らにさえ、奴は自分の話をしていないようだった。
まあ、四人は薄々勘づいているようではあったが。
というより、勘づかない方がおかしいというべきなのだ。なぜなら久々知は、入学してから一度も家に帰ったことがないのだから。

「兵助、夏休み帰らないの?」
「うん。帰ってもやることないし」

長期休みに入る度、そんな会話を聞いたものだ。
後になって気付いたのだが、この時の久々知の「やることないし」は、「出来ることがない」という意味だったようだ。
家はあり、肩書だけなら「家族」と呼べる者もいる。
だがそこに、「家族」のような温かさはない。

「――久々知……城?」
「ああ、百年程前に数日だけ存在したといわれる幻の城じゃ」
「……そんなに昔のことなのですか」
「ああ、未だに詳しいことは分かっておらん。」

忍の世界に出自は大凡どうでも良いこと。
だが、任務として学園長にこの話をされた時、どうしても気になってしまった。

「……五年の久々知との関連は、」

言いかけた私に、学園長はただ眉を少し上げた。
……聞くなということか。

「――いえ」
「そうか。では、仙蔵。久々知城についての情報を集めてこい」
「―――、御意」






――
フォルダ漁りその二。
久々知城の考察とかをしようとして昔書いたもの。
でもあとで調べたところ室町以前に久々知城無くなってるみたいなのでボツになりました。笑

そろそろフォルダ内のデータも切れてやばいです。
何か……!何か降りてこい文章の神……!






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