芸能パロ寝起きドッキリ小平太篇

*芸能パロ
*『忍たま』という長寿ドラマに出演している、というありきたりな設定
*関西弁、もはやダレコレ状態
*呼称とか一人称とかいろいろいじってます、あと書き方もいつもよりフリーダムです







(ナレーション:三木ヱ門。別撮り、ギャラあり)
某月某日。
映画撮影のため沖縄にやってきた『忍たま』の出演者達。
初めてのお泊りと沖縄にはしゃぎまくった(大騒ぎする出演者達(主に五、六年)の映像)結果、みんなぐっすりと眠っている。

さあ、今こそ寝起きドッキリを仕掛けるのだ!

「おはよーございます」
「ございまーす」

久々知兵助と食満留三郎。
久々知くんは幼い時から芸能界の第一線で活躍している俳優で、食満くんはつい最近パリコレデビューしたカリスマモデルだ。(二人の今までの活動映像)
一見なんの接点もないこの二人だが、実は同じ京都出身の幼馴染。(小学生時代の写真映像)
『忍たま』の中でも絡むことはほとんど無いものの、裏では超仲良しなのだ。(楽屋で談笑中の映像)

「えー、ただいま午前四時! まだ外も真っ暗ですよ」
カメラマンが真っ暗な窓の外を映す。遠くの方がうっすら明るくなっているような気がするような時間帯だ。
「ね、今日も勿論みんながっつり撮影ありますよ」
「あるよお。でも大丈夫、最近の映像技術マジで凄いから」
「ほんま凄いよな! あっ、映像技術といえば、今撮ってるこ、の映画があんねんけど」
含み笑いでテロップを出した留三郎の頭を兵助がはたく。
「ぶっこみ方へた!」
笑い合う二人につられてスタッフも爆笑する。(下には映画の告知テロップがきちんと流れている)
これからする企画とは裏腹に、かなり和やかな空気が漂っていた。

非情に仲良しなお二人ですが、『忍たま』の出演者の中ではかーなーりの問題児。
暇さえあれば出演者達に悪戯を仕掛けるのである。(楽屋で悪戯を仕掛けている映像)
「忍たま三大悪戯っ子」とは二人のことだぁ!
センパイマジめんどくさい。(笑い声)

ちなみに最後の一人はわたくし田村の同級生、平滝夜叉丸です。(滝夜叉丸に悪戯されている三木ヱ門の映像)

先程とは違う廊下。
兵助が無言でスタッフの方を見てタイミングを計る。
三秒ほど無言になったのちに二人は息を吸い込んだ。
「はい、さっきの廊下から移動してね、今ターゲットの部屋の前にいます」
「うん」
小声で言った兵助に留三郎も頷く。
「記念すべき最初のターゲットは……」
「どぅるるるるるる」
「、ちょっと待って、セルフSEなん?」
半笑いでつっこむ兵助に留三郎は目で頷いてセルフドラムロールを続ける。(本当にSEは入らず)
仕方ないという表情になって兵助も言葉を続けた。
「えー最初のターゲットは」
「どぅるるるるるる」
「なんと!」
「どぅるるるるるるる、バン!」
「っ、こむ、っえー、細かいことは気にするな! いけいけどんどん体育委員長七松小平太くんです!」
噴き出しそうになるのを堪えたせいで噛んだ兵助を留三郎が睨む。
「おい俺めっちゃ真面目にやってんねんから噛むなや!」
「や、ごめん! ごめん! 次はちゃんとするから」
「絶対やで? 全くもー」
怒った振りをしつつ笑う留三郎に手を合わせて謝り、兵助は改めてカメラを見た。
「というわけで、最初は七松小平太くんです」

七松小平太。(今までの活躍映像)
「しめりけ戦隊ゲンキンジャー」、ヒヤシルバーのスーツアクターでデビュー。
以降は個性派俳優として様々なドラマや映画で活躍している。
かっこいい役どころが多いが、実は『忍たま』の中で一番のビビり。
「忍たま三大悪戯っ子」の標的になることが多いのも七松くんだ。(小平太が悪戯されている映像)

「小平太はなあ、期待したいよな」
「持ってる男やからね」
「持ってる、小平太は持ってる。俺この間小平太と一緒のロケ行ってんやん」
「うん」
頷く兵助に留三郎はカメラに視線を向ける。
「で、昼になって、ロケバスの中でスタッフさんからお弁当貰うんですよ」
「うん」
「焼肉弁当と焼き魚弁当があって、小平太は焼肉弁当選んでん」
「うん……」
予想できたのか、兵助が含み笑いをする。
「で、スタッフさんに貰って、自分の席座って、蓋開けるやん。焼肉が入ってなかってん!」
「ぶふっ!」
噴き出す兵助と爆笑するスタッフ。
「はあ!? と思って。意味分からんくない? 漬物が入ってないとか、卵焼きが入ってないとかならまあ分かるやん。メイン入ってないって何!?」
「弁当作った人確認するよな?」
「なあ? 普通するよな? もう俺めっちゃおかしくってさあ」
「七松くんどんな反応やったん?」
「五秒くらい無言になってテンパってた」
兵助が笑いをかみ殺す。
「留に助け求めんかったん?」
「求めてきたよ。『と、留三郎! 留三郎!』って」
「で?」
「無視してずっと携帯で動画撮ってた」
スタッフと兵助の笑い声が廊下に響いた。

ちなみに七松くんのテンパる映像はこちら。(テンパる小平太の動画)
このように、いつも七松くんは悪戯っ子たちに遊ばれています。
……んーまあ面白いから仕方ないね。(笑い声)

さあ! それでは七松くんの寝起きドッキリスタート!

カメラ目線でマスターキーを取り出す兵助と、カメラ目線で親指を立てる留三郎。
この二人、ノリノリである。
「「お邪魔しまーす」」
小声でそろりとドアを開く。
当然ながら真っ暗なので、留三郎が廊下側の電気だけ付けた。
少しだけ黙って小平太の様子を伺うが、起きてくる気配はなさそうだ。
「寝てる?」
「寝てる寝てる。行くで」
寝室のドアを少しだけ開けて様子を確認し、いざ寝室へ。
「お邪魔しま……どんな寝方やねん」
寝室に入った途端、思わず真顔でつっこむ兵助。
笑いをかみ殺すような声と共にカメラに映し出された小平太は。
ベッドから落ちたのかベッドと壁の間に挟まっている。
しかもただ挟まっているわけではなく、正座をしたまま壁に頭を押し付けて寝ている。
予想以上に持っている男の寝方に留三郎が口を抑えて笑いを耐えた。
「マジか……! 小平太マジか……!」
「凄いな……どうなったらこんな寝方なんねん」
呆然としている兵助。
留三郎がカメラに向かって指を突き付けた。
「いいですか皆さん、これが持ってる男の実力ですよ!」
兵助が噴き出し、スタッフの笑い声も響く。
しかし小平太はぴくりともしない。
「……ほんまに寝てる?」
「生きてる?」
留三郎の真顔の問いに兵助が小平太の寝息を確認する。
頷いた兵助に、留三郎がスタッフから何かを受け取って渡した。
「……俺がするんこれ」
「他に誰がおんねん」
兵助が手渡された物をカメラに見せる。
おかめのお面と豆腐。(※食べられない豆腐ですとテロップ)
確かにこれは兵助が適任だろう。
「ちょっと待ってよ」
豆腐とお面を持って立往生する兵助に留三郎がお面を取り上げる。
「ほら、俺が付けたるから」
「おかんやな」
「うるさいわ。ほい、見える?」
「うん、おっけおっけ。ありがと」
(仲良し(はぁと)というテロップ)
おかめのお面を被った兵助がカメラ目線になり、ぴしりと動かなくなる。
思わず吹き出すスタッフとなんとか耐える留三郎。
「めっちゃシュール」
全く動かなかったおかめが揺れた。
笑っているようだ。
「わろてんのそれ? 全然表情が分からへん」
「分かったら怖いわ」
兵助が軽く咳払いをして空気を切り替える。
「はい、では早速起こしてみようと思います」
豆腐を片手に持つおかめ。
なんともシュールな絵面である。
おかめとカメラマンを残し、留三郎と他のスタッフは廊下へ隠れた。
「めっちゃシュールじゃない? 大丈夫これ」
少し困った声音のおかめにカメラマンの笑い声が聞こえる。
「しかしほんま起きへんな」
壁に頭を押し当てた状態から微動だにしない小平太を見下ろすおかめ。
「……」
おもむろに、小平太の上半身を後ろに引く。
壁に正座しながら上半身はベッドにのけぞる、イナバウアーのような体勢。
カメラマンが笑うも、やはり小平太は起きない。
「……行きますか」
反応のないいじりに飽きたのか、おかめが豆腐をカメラに見せる。(※食べられない豆腐ですというテロップ)
そしてそのままゆっくりと、豆腐を小平太の胸元からパジャマの中へ入れた。
「っ!?」
小平太が驚いて飛び起きる。
ところが目の前にいたのは、正体不明のおかめ。
「なっ!? えっ、何!? はっ!?」
「…………」
「誰よ!? 何!? なんなん!?」
無言のおかめににじり寄られ、逃げようとする小平太。
しかし。
「いたっ!? えっ、せいっ、なんで俺正座してんの!!」
足がしびれて動けないことでようやく今の体勢が分かったらしい。
パニックになっている小平太におかめが豆腐をもう一丁小平太の首筋に置いた。(※食べられない豆腐ですというテロップ)
「つめたっ! ちょ、なんやねんお前誰!」
そこへ、爆笑しながら留三郎が現れた。
「留!?」
小平太が留三郎に気を取られているうちにおかめがカメラの外へ行く。
「めっちゃパニクってるやん」
「え!? え、なにこれ!?」
「ちゃっちゃら〜」
相変わらずのセルフSEと共におかめの面と「だ〜いせいこう!」というフリップを持った兵助が登場。
小平太は兵助に驚いて、フリップを見て呆れた。
「暇か!」
二人とスタッフが笑う。
「こういうのはやらなあかんやろ」
「やらんでええねんってもう……俺朝一で撮影やねんけど」
「俺ドッキリ終わりで仙台やで」
「俺も今日一回東京戻る」
「アホちゃう!?」
笑いが起こり、ゆっくりと暗転した。

というわけで、ここからは七松くんも一緒にドッキリを仕掛けに行きます。
「忍たま三大悪戯っ子」のうち二大がいて、七松くんは無事なのか!?
七松くんのいじられっぷりにも注目して、どうぞ。





――
SSS内にある久々知と食満のラジオ風のやつと同じ設定。
ちなみにセリフの間の文章は三木ヱ門じゃないです。ただの説明。
テレビ番組っぽい感じで想像してもらえると面白い、と思う。たぶん。
だが続かない。






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