33巻の裏話

*33巻ネタ






焔硝蔵の火薬が全て盗まれた。

その騒動はあっという間に学園中に広まり、火薬を守り切れなかった火薬委員会は生徒から集中砲火を受けることになった。
とはいってもそのほとんどが委員会に所属していない生徒であり、事の真相を知る生徒達は皆口を噤んだ。
そのため、庄左ヱ門と小松田さんが誘拐されたことは公にならずに済んだのだ。

「大丈夫か、兵助」

学園の警備のために授業が中止になった五、六年生。
これから火薬を取り戻すために学園を出る兵助に、八左ヱ門が心配そうな声をかけた。
一年は組が火薬を取り戻すために数刻前学園を出たことになっているが、その実彼らの目的は庄左ヱ門と小松田さんの救出だ。
一年は組に気取られないように、盗まれた火薬を回収する。それが兵助と三郎次に充てられた仕事だった。

「大丈夫だよ。先生方もいらっしゃるし」
「そうか……しっかりやれよ」
「ああ」
「頼んだぞ。私らはいけないんだから」

後ろから声をかけたのは三郎だ。
誘拐したのがドクタケとはいえ、庄左ヱ門が安全である保障はない。
後輩のことが心配なのに、学級委員長委員会は今回残って警備をしなければいけない。
歯がゆく思っているであろう同輩に、兵助はしっかり頷いた。

「大丈夫。あちらには伊助がいるから」

普段はあまり目立つことのない後輩だけど。
守るもののためなら、あの子は誰よりも強くなれる。
疑いも心配もしていない様子の兵助に、八左ヱ門と三郎は顔を見合わせた。




***




「で、半分くらい使われてたけど無事に火薬を取り戻して、一年は組も庄左ヱ門と小松田さんを取り返して、なんとか収束したんです」
「へーええ、そんなことがあったんだ」
「っていうか、先輩方が後ろで動いてたなんて知りませんでした!」
「そういう目的だったからなあ。ま、でもあのことがあったから幻術には強くなったよな」
「「ですねー」」
「おれも勉強しなくちゃね」
「今度善法寺先輩に幻術見る薬貰ってみるか」
「あっ、いいですねそれ。面白そう」
「お前はまたかかるんじゃないか? アホだから」
「アホアホ言わないでくださいよ! それに、こういうのって真面目な人の方がかかりやすいって言いますからね! 三郎次の方がかかるんじゃないですか?」
「先輩を付けろ!」
「こらこら、喧嘩するな。さ、さっさとここ片付けて仕事に戻るぞー」
「「はーい」」

四人の目の前には三つの屍。

人数も少なくて、実力も低いように見えるけれど。
火薬の番人には誰一人として勝てやしないよ。
なんせあの四人はみんな、守るもののために強くなれる人達なのだから。







――
押し入れから落乱を引っ張り出して久しぶりにパラパラ読んだら、伊助ちゃんがめっちゃかっこよかったので。
実際には五年生どころか火薬委員の存在自体無かった時期でしたけどね。そういえばこの時期火薬委員だけ無かったのか。34巻で初出だったよね確か。

ともあれこの巻の伊助ちゃんがえらいかっこいいのでおすすめです。あと35巻も。
あと火薬の話ではないですがこの巻の六年生もちょっとかっこよかった。

んで、昔の落乱読んでると思うけど、最近のオールよりも昔の乱きりしん及び一はメインの方が面白かったな、と。
オールはオールで楽しいんだけどね、なんていうんだろう……こう、○○委員会の活躍!活躍!ってなるよりはちょい役で一はのサポート!の方が輝くと思うんですよね。で、たまにオール、くらいの。
だってこの頃の六年生かっこよかったもん。今もかっこいいけど、なんか「お騒がせキャラ」感があるんだもん。嫌じゃないんだよ。嫌じゃないんだけど、こう……なんか、ね。あるじゃない。
まあここで言ってもしょうがないんだけどさ。

っていうか私が脇役好きってのもたぶんあるけどさ。
主役よりも主役を影で支えるキャラに萌えるタイプですごめんなさい。





×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -