忍術学園雪景色の段その後妄想






結局日が落ちても決着はつかず、また後日に持ち越しとなった。
留三郎と文次郎がぎゃあぎゃあ言いながら長屋へ戻っていると、どこからかきゃあきゃあと楽し気な声とふんわりと美味しそうな匂いが漂ってきた。
無言でその方向を探すと少し遠目に見えるかまくらを発見。生徒だろうか、と二人は無言でかまくらに近づいた。

「……何してんだお前ら」
「うわっ、また増えた」
「人を虫みたいに言うな」

中にいたのは五年の兵助、勘右衛門、八左ヱ門、四年の滝夜叉丸(寒そうな恰好だ)と喜八郎、三年の三之助と左門、一年の乱太郎ときり丸としんべヱと兵太夫だ。
五年三人は苦笑しつつ、どうぞと手振りで空いているスペースを指した。

「最初はぼく達だけで鍋パーティしてたんですが」
「良い匂いにつられたしんべヱ達が混ざって」
「喜八郎達と三之助達も同じように集まってきましたー」
「「混ざりましたー!」」

随分と楽しそうだ。後輩達が仲良くしている光景は和む。
三年以下はともかく四年と五年が仲良しなのは意外でもあったが、そこは五年だからで納得がいく。五年はどこか人を和ませる何かがある。
かまくらの中に座った二人に、兵助が鍋を取り分けて手渡した。

「どうぞ。豆腐は残念ながらもう無くなっちゃったんですけど、鍋はまだ残ってますから」

朝からずっと動いててお腹すいたんじゃありません? と少し悪戯っぽく笑う兵助に文次郎と留三郎は苦笑した。図星だ。

「とっても美味しかったです!」
「だろ? へーすけの料理はおばちゃん仕込みだからな」
「豆腐も噂通り美味しかったですしね」
「鍋の豆腐も手作りですか?」
「そうだよ。朝からずっと作ってたよねー」
「凄いですねえ」
「せんぱーい! またお豆腐食べたいです!」
「あ、ぼくもぼくも!」
「ぼくは売ってもいいですか!」
「きりちゃん……」

きゃいきゃいと笑う後輩達に兵助は勿論、と微笑む。
途端に一年から湧き上がる歓声に、迷子コンビや四いの二人も私達も私達もと手を上げる。
よっぽど兵助の料理がお気に召したらしい。
戸惑う兵助に、勘右衛門と八左ヱ門はからからと笑う。
平和な空気に絆されつつ、文次郎と留三郎も渡された椀に口を付けた。

「お、美味い」
「久々知お前、豆腐以外の料理も出来たんだなー」
「先輩ぼくのことなんだと思ってんですか」
「豆腐小僧」
「そーですけど」
「それは認めるんですね」
「んにゃ、言われすぎて最近マヒしてんのへーちゃんってば」
「昔は嫌がってたよなーその呼び方」

かまくらの中に笑い声が弾ける。
困ったように兵助も笑った。





――
ついでなのでこっちの回も妄想。
落ち? ないよ?



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