田村久々知立花で忍務





大きな爆発音が響く。
絶妙なタイミングに火器を愛している後輩を心の中で盛大に褒めながら、久々知は城を出た。

「久々知」
「立花先輩。無事でしたか」
「一番危険な役回りしといて何を言う。密書は?」
「当然。先輩の方こそ」
「心配されるまでもない」
「ですよねー」

すぐさま合流した立花と軽口を叩き合いながら、貢献してくれた後輩の元へ急ぐ。

『それにしても、新式火薬の研究とはな』
『恐ろしいですね』

立花、久々知、そして田村。
今回選ばれた三人は全員が火薬の知識に長けているメンバーだ。
それもそのはず、忍び込んだ城では火薬の研究をしていた。
密書を奪ったことで、その結果も全て無くなったのだが。

『脅威があるモノは正しく使うべきですよ』
『そうだな。まさに「正心忘れるべからず」だな』
『ホントにそうですよ。潮江先輩、いいこと言います』
『本人に直接言ってやれ』

ざっと城の内部を見た久々知と立花は、研究していた火薬がどれほど危険なものか推測することができた。
危険なものを作り出すことは、きっと研究者にとっては通過点でしかない。
使うと決めるのは、その場に行かない立場の人。
だからこそ、使うなら正しく使わなければならない。

「――立花先輩! 久々知先輩!」
「田村。無事か?」
「僕は大丈夫です。先輩方は……」
「俺達も無傷だ」
「さて、では帰還しよう」
「「はい」」

心配そうに見てくる田村の頭をはたき、三人で視線を交わした。
三人とも無傷。
密書も奪還した。
忍務は無事に成功だ。


三人の影は、そのまま闇に消えて行った。




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